ジークフリードSide〜その7
俺は第六層を全討伐し終えると、リーナの様子に安堵しながら第七層へと向かった。
そして、第七層にも物凄い数の魔獣がいるとリーナに言われたので討伐は次の日にする事にしたのだ。
「・・・何やら騒がしいな」
「おはようございます、閣下」
俺はリーナとニックがテントから出て直ぐに騒ぎ始めたので、ヴァージルや起き出した第一班の騎士達とリーナ達の元へと向かった。
「・・・ここも神災級魔獣だったのか。ヴァージル、こいつらは眠りの状態異常だったな?」
「はい、閣下。対睡眠用の装備はありませんが如何なさいますか?」
さすがにどうも出来ないので装備を整えて出直しかと考えていたら、リーナが釣り竿を持って来た。
そして、何をするのかと思って見ていたら、見事に神災級魔獣の唯一の弱点である逆鱗に針を掛けて討伐したのだ。
ゴロン!
俺は大きな魔石が安全地帯に転がって来たのにびっくりしながらヴァージルを見ると、ヴァージルは満面の笑みだった。
そして、俺達は第七層の全討伐を開始したのだ。
・・・ダメだ。眠い・・・
俺はもうどれぐらいの神災級魔獣の逆鱗を毟ったのか全く分からないぐらいにはこの一週間毟りまくっているので、最近は半分寝ながら討伐していた。
・・・今朝の漬け丼は美味かったよなぁ。今日の晩飯も漬け丼でいいんだがなぁ
『ギャーーーーーーーーーーッ!!!』
「リーナーーーーーーーっ!!!」
俺がそろそろ晩飯の時間だなと考えていたらタヌキの絶叫とニックの叫び声が聞こえたので、一瞬で目覚めると状況を確認した。
「リーナは魔獣に食われて壁の中だな」
「はい、閣下。申し訳ございません」
「・・・それなら潜るしかないか」
「はい、閣下。ですが、リーナの現在地が分かりかねます」
そして、リーナの現在地を確認する為に俺達は部屋の中の壁に向かってリーナを呼び続ける事にした。
「・・・これだけ呼んでも反応無しか。ヴァージルどう思う?」
「さすがのリーナも眠りの状態異常には勝てないのかも知れません」
「それなら潜って探すしかないな」
「ですが、壁の中は魔法が使えませんので、長引くと閣下が危険です」
「神災級魔獣に魔法無しはキツいが仕方ない。後は俺の運次第だな」
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「・・・リーナの腹次第だったか」
「・・・はい、閣下。そろそろ晩飯の時間ですね」
俺は、リーナの腹の音が聞こえて来た壁にスキルを使って潜ると、速攻で神災級魔獣の逆鱗を剣で砕き、さらに神災級魔獣の腹の中に潜った。
そして、目の前に現れたリーナを抱き締めると壁の中から出たのだが、リーナが俺から離れようと手を突っ張ったのには、ちょっと凹んだ。
こうして、俺は第七層も全討伐したので、次の第八層に向かうかと考えていたら、リーナが何かを見つけたらしく再び壁の中に潜る事となったのだ。
・・・臭い
俺はリーナが言う何かよりも壁の中が改めて臭い事に萎えて、早く終わらす為に目的地に向かうと、そこには龍の聖獣がいた。
・・・それも白だし最高位だよな?何でこんな所にいるんだ?
俺としては聖獣は討伐対象では無いし、誰かのペットにしたら何らかの恩恵はありそうだと考え、リーナの怪力を使って引き摺って行く事にした。
だけど、自分の身体強化魔法を使えない事を思い出し、仕方無しにリーナの怪力に頼ろうとしたら、リーナはあろうことか見つけた大きな魔石を聖獣を使って壁の中から叩き出し、怒った聖獣も次いでと言わんばかりにぶん投げたのだ。
・・・待て待て待てっ!聖獣の最高位は怒らせたらさすがにヤバいだろっ!?
俺はヴァージル達の危機だと思いダッシュでリーナを抱えて壁の中から出た瞬間に物凄い風圧で壁に叩き付けられた。
・・・ん?ここは?
俺が気絶していた事に気づいて慌てて起き上がると、そこにはすっかり仲良さげなリーナと聖獣がいて、どうやらリーナが聖獣のペットになったらしかった。
そして、その後晩飯と言うよりも宴会となり、俺は初めて飲むリーナの作る酎ハイとやらを気に入ってしまい、記憶が無くなると言う初めての経験もしたのだ。
「・・・それでは討伐遠征組は今日から一週間の休暇とする・・・」
俺は初めての二日酔いに第八層の討伐どころじゃなくなり昼前に城に帰還すると、それだけ言って部屋に帰った。
そして、その日は一歩もベッドから出る事無く終えたのだ。
「・・・兄上。何か用ですか?」
「おいおい、ジーク!愛する弟に用が無ければ会いに来てはならないのかい?」
俺としてはいきなり朝早くからやって来て何言ってるんだと言いたいが、長くなると面倒臭いので先を促した。
「父上と母上が昨日の昼にヴァージルからの報告にあったリーナと言う名前のタヌキを使っての作戦に興味を引かれたらしいんだよねぇ。だから、連れて来いってさ!」
俺は聖域の報告を昨日帰還して直ぐ様上げたらしいヴァージルに確認した所、リーナが十六歳だとも報告してあるとの事だったので、まあ、それほど酷い目には合わないだろうと考えた。
そして、リーナだけでは何を仕出かすか分からなさ過ぎるから俺も帝都に行く事にしたのだ。




