その26
「・・・いや〜、この柿の種っちゅうもんは、めっちゃ美味いなっ!そんでもって俺様の酒に良く合うしなっ!」
「それ、柿の種って言うんですね!白龍様のお酒もめっちゃ美味しいですよね!」
「だな〜!魔法騎士の任命式の宴会で飲んだ最上級酒より絶対美味いよな〜!」
「って言うか、こんなに美味い酒と美味いつまみをこのダンジョンで味わえるなんて思わなかったよな!」
「これもリーナが白龍様のペットになったからだよなぁ?だけど、聖獣って普通ペットになるもんじゃなかったかなぁ?」
「そこは、リーナはタヌキだし良いんじゃね?」
「そうですね。リーナはタヌキですから何も問題無いでしょう。そうですよね?閣下」
「・・・そうだな」
『・・・』
わたしとしては何だかなぁとは思わなくもないけど、まあ、今世初のお酒が飲めるので良しとする事にした。
『うーん・・・違うお酒も飲みたいな』
わたしは聖獣白龍の抱えていた樽に入っていた濁り酒も美味しいとは思うけど、こればかりだとちょっと甘いなぁと思ったのだ。
「何やリーナ、違う酒が飲みたいんか?よっしゃ!俺様は今めっちゃ気分が良いからな!リーナの飲みたい酒を飲ましたろやないか!ほれっ!どんな酒が飲みたいんや?」
そう言うと白龍はわたしの目の前に樽をドンッ!と置き、手を当てて飲みたいお酒を願えと言ったので、それならと願ってみた。
「ほお?これがリーナの飲みたい酒なんか?」
そして、樽が一瞬光ったと思ったら、記憶にある爽やかなレモンのお酒の香りがした。
「何っ!?何やこれはっ!?リーナっ!これは何て酒なんやっ!?」
『え?レモン酎ハイ』
「レモン酎ハイか!めっちゃ美味いなっ!」
そして、どれどれと隊長達も味見したら口に合った様で、その後はわたしの記憶にある限りの酎ハイ祭りとなったのは言うまでもない。
『・・・あ、頭が・・・・・・・・・痛くない?』
わたしはいつ寝たのかも定かではない次の日の朝には遅い時間、起きた瞬間に覚悟していた二日酔いが全くなかった事には心底驚き、獣人の頑丈さに感謝した。
そして、わたし達は第七層をクリアしたけど白龍と隊長達が二日酔いで無事死亡した為、野営を撤収した後にロゼルナイト辺境伯城に帰還したのだ。
「・・・それでは討伐遠征組は今日から一週間の休暇とする・・・」
「「「「「「・・・は」」」」」」
『はっ!』
わたしは顔面蒼白の隊長達と別れると自分の部屋へと帰ろうとした。
「リーナ〜。俺様、もうアカンわ〜」
すると、そう言いながらわたしの背負う頭陀袋に乗って来た青白くなってる白龍は、そのまま突っ伏した。
『え?わたし自分の部屋に帰るんだけど?』
「おう。今日から俺様の部屋でもあるな〜」
『・・・』
わたしはマジか?と思ったけれど、って言う事は好きな時にお酒が飲めるって事だし、まあ、便利だなと思い、そのまま伸縮自由自在らしい白龍を乗せて部屋に帰った。
そして、頭陀袋と白龍をソファーに置くと部屋着に着替え、お昼ご飯を食べに食堂に行く事にした。
一応、白龍にも聞いてみたけど、何かめちゃくちゃ呆れた顔をされ要らないと言われたので、わたしは一人で食堂へと向かった。
『うわぁ!今日はラーメンだ〜!』
わたしは今日のお昼ご飯が背脂多めのこってり豚骨醤油ラーメンとチャーハンと餃子に唐揚げだったので、全てジェスチャーで大盛りにして貰うと、隊長達と第一班の誰一人居ない食堂の片隅で食事をした。
『・・・あ〜、美味しかった〜!』
わたしは今日の朝起きたらモフモフに戻っていたので、今現在パッツパツのワンピースのお腹を撫でると、デザートの魔石も平らげてから部屋に戻った。
そして、部屋のソファーでは出る時と同じ姿勢のままの白龍が頭がぁと呻いていたけど、まあ、聖獣が二日酔いで死にはしないだろうと思い、わたしはお昼寝をする事にしたのだ。
わたしがお昼寝から目覚めると、すっかり夕方になっていた。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「・・・リーナの食欲はどえらいなぁ」
わたしはまだ頭がぁと呻いている白龍を尻目に食堂へ行き、晩ご飯の焼き肉定食の大盛りとデザートの魔石を平らげると、その日はする事も無いので早目にベッドに入ったのだ。




