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その23

 『・・・うわぁ!頭が三つもある!』


 わたしは目が覚めると朝ご飯の用意をする為にニックを起こしてテントから出たのだけど、第七層の大きな入り口の上の方に違和感を感じて良く見てみた所、そこには頭が三つある体長二メートルほどのトカゲっぽい魔獣がへばりついていたのだ。


 「うわぁ、こいつらがいたんだ!?」


 わたしと並んで見ていたちょっと青ざめてるニックが言うには、この魔獣は神災級魔獣の中でもかなり強いらしく、討伐するには胴体の腹の部分にある弱点の逆鱗を壊さないと、どこを切断しようが吹っ飛ばそうが何度でも再生するのだそうだ。


 「その逆鱗もめっちゃ硬かったんじゃね?」


 「だよな〜。攻撃魔法も通らないんだよな〜」


 「って言うか、入り口もこいつらにとっては壁なんだな!」

 

 「だなぁ。他のダンジョンでも入り口で野営してたら突撃して来るやつとかたまにいるしなぁ。まあ、絶対に出て来れないんだけどなぁ」


 「なるほど!リーナが居るからこいつら出て来たって事なんだね!」


 「・・・ここも神災級魔獣だったのか。ヴァージル、こいつらは眠りの状態異常だったな?」


 「はい、閣下。対睡眠用の装備はありませんが如何なさいますか?」


 わたしはいつの間にか起きて来ていた隊長達の会話を聞きながら、それなら何とかなるかも知れないと思いテントに戻ると、頭陀袋から釣り竿を出して隊長達の所に戻った。


 「リーナ?釣り竿で何するの?」


 『こうするのっ!』


 わたしはニックの不思議そうな顔を見てから、入り口にへばりついている魔獣のお腹に向かって投擲した。


 『よしっ!掛かったっ!』


 「「「「「「「え?」」」」」」」


 わたしが見えている光る部分に寸分の狂いもなく投擲したら魔法の針は引っ掛かったので、そのまま魔獣を釣り上げると、入り口からは出て来れないトカゲっぽい魔獣は逆鱗だろうと思われる鱗をひっぺがされあっさりと消え去った。


 そして、その勢いのままバスケットボールぐらいの大きさの魔石がこちらに転がって来たのだ。


 「「「「「「「・・・」」」」」」」


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 『取り敢えず朝ご飯だね〜』


 わたしは固まってるニックを引っ張って行き、朝ご飯を作る事にした。


 『うんまっ!?これ、うんまっ!』


 わたしはピンクの錦魚で作った鯛めしっぽいご飯を一口食べると、あまりの美味しさに夢中で掻き込んだ。


 「リーナっ!この炊き込みご飯めっちゃ美味しいねっ!お代わりしていいっ?」


 わたしは一杯目を速攻で食べ終えたらしいキラキラした笑顔のニックに大きく頷くと、ニックは目にも止まらぬ速さで炊飯器にダッシュした。


 そして、隊長達も同じく美味しかったみたいで、皆んなお代わりしてくれた。


 『・・・あ〜、美味しかった〜!』


 わたしが食後のお茶を飲みながら一息吐くと、隊長と副隊長はこの後の討伐の作戦会議をするらしいので、暇潰しに入り口にまたへばりついているトカゲっぽい魔獣を釣る事にした。


 『今度は二匹いるな〜』


 わたしの目の前にはお腹を見せてへばりついているトカゲっぽい魔獣と、わたしの横のニックの目の高さにいるトカゲっぽい魔獣の二匹がいるのだ。


 ブチッ!


 「えっ!?」


 ゴロンッ!


 ブチッ!


 ゴロンッ!


 「リーナっ!俺にも出来たよっ!」


 「「「「「「・・・」」」」」」


 わたしが目の前のトカゲっぽい魔獣の逆鱗を毟り取ると、ニックは一瞬びっくりしてから同じ様に自分の目の前の逆鱗を毟ったのだ。


 こうして、第七層の魔獣討伐は、わたしを副隊長が部屋の中に投擲して誘き寄せ、入り口にへばりついた神災級魔獣の逆鱗を毟り取ると言う作戦となったのだ。


 『・・・うわぁ!めっちゃ綺麗〜!うわっ!?キモッ!』


 わたしは第七層の部屋の中に投擲された瞬間に、目の前に広がった虹色の光り輝く空間のあまりの綺麗さに感動した。


 だけど、直ぐに三つの頭を持つ黒いトカゲっぽい魔獣が現れたので、一瞬でそんな気持ちは霧散した。


 『外から見るのと中から見るのってこんなに違うんだね〜』


 わたしは何度も投擲されて慣れて来たので、三つの頭のトカゲっぽい魔獣に当初抱いた何とも言えない気持ちの悪さにも慣れて来たので、他の皆んながせっせと逆鱗を毟り取るのを尻目に副隊長の華麗な竿捌きを楽しんでいた。


 『・・・ダメだ。眠い。負けるな。わたし・・・』


 そして、わたしはお昼ご飯の携帯食料を齧りながら飛んでいたら睡魔が襲って来たけど、さすがに皆んな頑張ってるのだからと必死に戦っていた。


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 『・・・あれ?ここどこ?』


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 わたしは自分のお腹の音で目が覚めるとゆっくりと起き上がり、そこがテントの中の自分のベッドなのを理解した。


 『あ、寝てたのか・・・まあ、眠りの状態異常の魔獣だったし、しょうがないよね〜』


 「おはよう!リーナ!晩ご飯作るなら手伝うよ!」


 わたしがテントから出ると、そこには高級野営セットのテーブルセットで寛ぐ隊長達やニック達がいた。


 そして、隊長から第七層の魔獣討伐がまだ全て終わってないので、明日の朝から再び討伐を開始すると聞かされたのだ。


 

 


 


 


 

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