その22
「次はどんな魔獣なのかな!?」
「面倒臭いのは嫌だな〜」
「連続は無いんじゃね?」
「だなぁ。普通に考えて連続は無いよなぁ」
「だから、フラグ立てるな!」
わたしも第六層はどんな魔獣がいるんだろうなと、お昼ご飯の携帯食料を齧りながら隊長に小脇に抱えられて、わたし達は早朝から貝の中から魔石を全採集した第五層の湿地帯を後にしていた。
『・・・うわぁ!お花ば、グエッ!?』
わたしはちょっと寒くなった左を見上げると、副隊長が良い笑顔でわたしの首根っこを掴んで見下ろしていた。
「リーナ?そろそろ本気で学習しましょうね?」
わたしは踏み出していた前足をそっと直しながら頷いた。
そして、じっと色んな花々が咲き乱れる一面のお花畑を観察した結果、やっぱり何かはいた。
『うーん・・・でも、何なんだろ?奥の方に固まってる?それとも大きな個体?』
取り敢えず副隊長に奥を指差してから釣り竿を渡すと、隊長と副隊長が少し話し合いをした後に、わたしは投擲された。
『あっ、ハチか〜』
奥の壁際迄飛んだわたしの目の前に現れたのは、一匹の二本の角がある大きなハチっぽい魔獣だと認識した瞬間に入り口に引き戻された。
すると、ハチっぽい魔獣は物凄い速さでわたしに追い付くと口から何かを吐き出し、それはわたしの顔面を直撃したのだ。
『ブホッ!くっさっ!え?痒っ!?めっちゃ痒いんですけど〜〜〜〜っ!?』
「リーナ!直ぐにこの中に入って下さい!痒みが取れます!」
わたしは顔面の凄まじい痒みから副隊長の言葉を聞いて直ぐに目の前の水球に飛び込もうとしたけど、あまりのえげつない色に痒いのも忘れて一瞬躊躇した。
「リーナ!早く入らないと酷くなりますよ!」
副隊長がそう言うので、わたしは仕方なく飛び込んだ。
『・・・めっちゃ湿布臭い』
そして、飛び込んだ瞬間に痒みは取れたけど、めちゃくちゃ湿布臭かったし目に染みるので丸洗いして貰おうと思ったら、ちょっとの間はそのままで居なければダメだと副隊長には言われてしまった。
「・・・リーナすまなかったな。ヴァージル。俺が投げよう」
「はい、閣下」
『えっ!?』
わたしはもっと酷い目に合いそうだったので、思わず副隊長の足に縋り付いた。
「リーナ、私ではあの神災級魔獣の速さに対応する事が出来ません。ですが、閣下なら対応出来ます」
「リーナ。この前の様な失敗は絶対にしない。俺を信じて欲しい」
わたしはキリッとした顔の隊長を見上げて、まあ、うちで一番強いのは隊長らしいし?それに腐っても隊長なんだから今度は失敗しないだろうと思い頷いた。
そして、今度は隊長の投擲で魔獣の討伐が本格的に始まったのだ。
『ウヒャヒャーっ!楽しーっ!』
わたしは最初は物凄い不安だったけど、今現在は隊長の物凄い竿捌きを楽しんでいた。
このハチっぽい魔獣が体液を吐くのは一回だけらしく、吐いた後はわたしを角で攻撃しようと追い掛けて来たので、そこを入り口付近で待ち構える副隊長達が討伐しまくると言った感じになっている。
『・・・飽きて来たな〜』
そして、ハチっぽい魔獣はどんどん出て来る為、延々と飛んでるのに若干飽きて来た頃、それは現れたのだ。
わたしは目の前に飛び出て来ためちゃくちゃ大きな二本角のハチっぽい魔獣が女王蜂なんだろうな〜と思ったら、さらに隊長の竿捌きは加速した。
『うわっ!?えっ!?ヤバいっ!?無理っ!』
女王蜂っぽい魔獣は何回も体液を吐き出す事が出来る様で、その吐き出す速さもさっきまでのハチっぽい魔獣とは段違いの速さだったので、その場で振り回された結果わたしはもう自分が今どこを向いてるのかも分からなくなっていた。
「リーナっ!リーナっ!」
わたしは自分を呼ぶニックの声に目を開けた。
「良かった!大丈夫?」
そして、わたしは自分が寝ている事に気づき、ゆっくりと体を起こした。
『・・・き、気持ち悪い』
わたしは込み上げるものに慌てて口を押さえると、何とか我慢出来たけど何かさっきの湿布臭さも倍増してるしでどうしたものかと考えた。
「リーナ、この薬を飲んで下さい。気分が良くなるはずです」
「リーナ、無理をさせてすまなかった」
わたしは副隊長から渡されたえげつない色の薬を嫌々飲みながら、しょんぼり顔の隊長を見た。
『・・・まあ、今回はしょうがないよね。取り敢えず痒くはならなかったしね』
わたしはえげつない色の薬を飲み終えると、隊長に大丈夫だと言う感じで小さく頷いた。
そして、わたしが気絶してる間に魔獣の討伐は終わっていたので、わたし達はお花畑を抜けて第七層へと向かったのだ。
『ん?めっちゃいる!?』
わたしは第七層の大きな入り口から部屋の中を見た瞬間に、壁床天井ありとあらゆる場所に蠢く何かを見つけた。
「・・・そうか。それほど大量ならば、明日の朝からの討伐の方が良いな」
そして、隊長の一声でその日は早目に野営となったのだ。




