その21
『あ〜、良いお湯だった〜』
わたしが丸ハゲ状態なので、副隊長が気を利かしてくれたフローラルの香りのする、いつもの水ではなくお湯の泡風呂を堪能してから、わたしはブルブルッと水を飛ばした。
「リーナ、乾かしますよ?」
わたしはいつもよりも笑顔の副隊長に大きく頷くと、温風で一気に乾かして貰った。
「リーナ!本当に無事で良かった!」
わたしは泣きそうな顔のニックに大きく頷いた。
「リーナって何気に凄いタヌキだよな〜」
「だよなぁ。神災級の状態異常も平気なんだもんなぁ」
「リーナが亜種だからじゃね?」
「そうだな!確か亜種って、まだ全容が解明されてないもんな!」
そして、わたし達は刺身食べ放題とお菓子等を食べ放題をしていたので、お昼ご飯を食べる事無くそのまま第五層へと向かったのだ。
第五層は何も無いだだっ広い部屋なのはさっきと同じだったけど、床ではなく辺り一面ぬかるんだ湿地だった。
「リーナ。ここにも魔獣は居ますか?」
わたしはじっと観察してみたら何かがいるのは分かったのだけど、それは何だかぼんやりとした感じで良く分からなかったので、取り敢えず下にいると指を差した。
「下ですか・・・」
「リーナ、先程のものと同じ感じか?」
わたしは隊長の言葉に、それは絶対に違うのは分かったので大きく首を横に振った。
「そうか。あの神災級でないのならば俺達が直ぐ対処出来る様に、今回は投擲ではなくリーナを囲んでの行軍からの討伐としよう。全員戦闘態勢に入れ」
そして、先頭にレダン・テッドで、続いてわたしを隊長と副隊長が挟み、アーク・カイル・ニックがその後ろで行軍する事になった。
湿地と言っても見た感じと違い全く沈む事なくレダンもテッドも歩き出したので、わたしもいつも通りに後をついて行こうと思ったけど、さすがに手が汚れるのが嫌だったから二足歩行で行く事にした。
ズボッ!
『え?』
「「「リーナっ!?」」」
「「っ!?」」
『・・・』
「・・・隊長。リーナの丸洗いをしても宜しいですか?」
「・・・そうだな。後は俺達で対処する」
わたしは一瞬で湿地に頭まで沈んだ事により、全身泥まみれ状態になったのを隊長に首根っこを掴まれて引揚げられていた。
「なるほどな〜。魔力が無いと沈むのか〜」
「リーナ!大丈夫!?」
「だから、俺達は毎回ただの行軍だったんだな!」
「って事は、本でしか見た事ないけど下にいるのはあれじゃね?」
「だなぁ。確か楽勝だけど面倒臭いやつだったよなぁ」
「・・・取り敢えず全員戦闘態勢に入れ」
「「「「「はっ!」」」」」
そして、わたしが入り口で副隊長に丸洗いされてる間に隊長とニック達で第五層の魔獣討伐は始まったのだ。
わたしはどんな魔獣なんだろうと気になったので、丸洗いされながら隊長達を観察する事にした。
「撃て!」
隊長の号令で隊長とニック達が下に向けていた手のひらから電撃が湿地一面に迸ったと思ったら、下からおびただしい数のめちゃくちゃ大きなトゲトゲがいっぱいのウニっぽいものが飛び出して来たのだ。
『うわぁ!ウニだよね!?美味しいのかな!?』
「リーナ。あの魔獣に可食部は無いですよ」
わたしは副隊長に何で思った事が分かったのかちょっと不思議に思いながらも、見た目ウニなのに食べられないなんてと残念な気持ちの方が大きかったけど、まあ、魔獣だしなと納得した。
そして、隊長達は湿地帯一面に落ちているウニっぽい魔獣を一つ一つナイフでこじ開けて魔石を取り出すと言う、気の遠くなるような作業をめちゃくちゃ遠い目をしながら始めたのだ。
グオォォォォォキュルルルルルルルッ!
「・・・もう、そんな時間か」
「はい、閣下。続きは明日にして野営の準備をしましょう」
ちなみに、わたしも手伝おうと思ったのだけど足が沈む事が分かったので、しょうがなしに入り口でうつらうつらしながら待機していたら晩ご飯の時間になったのだ。
そして、疲れ切った隊長達と、わたしの丸洗い後に魔石採集作業に合流した副隊長は入り口へと戻って来たので、頭陀袋から高級野営セットを取り出すと設置して貰い、わたしは晩ご飯を作る事にした。
「・・・リーナ。ハンバーグにしてくれないか?」
わたしがテントを設置して貰ってる間に何を作ろうかと考えていたら隊長がそう言ったので、晩ご飯は巨大チーズインハンバーグとミネストローネとパンと言うメニューになった。
そして、隊長も皆んなもいっぱい食べてくれ、その日はわたし以外は皆んな疲れ切っていたので早目に消灯となったのだ。




