その20
『・・・』
「「「「「「「・・・」」」」」」」
わたし達はいそいそと向かった第三層の大きな入り口で固まっていた。
『・・・この前と色は違うけど、どう見てもスライムだよね~』
わたし達の目の前の部屋の中にはこの前わたしの全身の毛を溶かし丸ハゲにした黒いスライム達とは違う、最初から部屋の中でそこら辺でぴょんぴょん跳ねてる半透明なスライム達がいたのだ。
「・・・ヴァージル。鑑定をしてくれ」
「はい、閣下」
『ん?』
わたしはドッヂボールぐらいの大きさのスライムの中に何かがあるのに気づいたので、魔石かと思い良く見てみた。
『・・・え?あれってもしかして・・・』
「・・・閣下。ここも間違いなく聖域です。目の前の物体は害の無いスライム系です」
「残念!スライムって食べられないよね?」
「さすがに全部食べ物とか無いんじゃね?」
「だよな〜。確か聖域のスライム系ってハズレだったもんな〜」
「んじゃ!次、行くか!」
「次は何の魔獣が出るんだろなぁ」
わたしは部屋の中に入ると一匹のスライムを捕まえようとした。
「あっ!リーナ!そのスライムは食べられないよ!?」
「って言うか、食べる前に捕まえられないんじゃね?」
『・・・』
わたしはアークの言葉に内心ちょっとイラッとしながら、何回かチャレンジしたけどどう頑張っても捕まえられないので、ニックに後ろ足で立ってお願いのポーズをしてみたら、ニックはしょうがないなぁと言った感じでヒョイッとスライムを捕まえてくれた。
そして、わたしは渡されたスライムを片手で掴むと、薄っすらと見えているものを取り出す事にした。
ズボッ!
「「「「「「「え?」」」」」」」
わたしはスライムの中に手を突っ込むと、中のものを掴んでから手を引き抜いた。
『柿の種ゲット〜!』
わたしがスライムを離すとスライムはぴょんぴょんと跳ねてどこかに行ったけど、そんな事よりも柿の種である。
今世には前世日本人で良く知ってる料理やデザートなんかは普通にあるのだけど、駄菓子や珍味系やスナック菓子等は見た事はなかったのだ。
わたしは目の前の透明な食べ切りサイズよりやや大き目の袋に入っている柿の種を早速食べてみた。
『うんまっ!?マジでうんまっ!ん?えっ!?あれって!?』
わたしがボリボリと柿の種を食べていたら、目の前のスライムの中に、別の物が入っているのが見えたのだ。
『ニック!これも!』
わたしが柿の種をボリボリ食べながら、目の前のスライムを指差しニックに頷くと、ニックは慌ててスライムを捕まえてくれたので、ニックに柿の種を渡して新たなスライムを手に取った。
「え?これ、めっちゃ美味しい!」
わたしはボリボリと柿の種を食べるニックに大きく頷くと、新たなスライムの中に手を突っ込んだ。
そして、わたしは同じ食べ切りサイズよりやや大き目の袋に入った色とりどりのグミをゲットしたのだ。
その後、隊長達は全く中身が見えないみたいだったけど、スライムを捕まえて中の袋を出した所、お菓子だったり珍味系だったりと全て食べられるものだった。
こうして、わたし達は一頻り食べ放題をしてから第四層へと向かったのだ。
「リーナ。魔獣は居ますか?」
「・・・リーナ。俺に今一度チャ」
わたしは副隊長の問い掛けにスルメをしがみながら大きく頷いて天井を指差してから頭陀袋の中の釣り竿を出し、速攻で副隊長に渡した。
「・・・」
「うわぁ!?また、あいつらかなっ!?」
「まあ、天井なんだしあいつらなんじゃね?」
「え〜。めっちゃ面倒臭いな〜」
「だなぁ。面倒臭いなぁ」
「だけど、全討伐するしかないだろ!」
わたしとしてもあの蜘蛛っぽい魔獣だったらネバネバがくっつくのは嫌だったけど、まあ、今回は丸ハゲ状態なので石鹸で洗ったら取れるからいいかと、一応騎士服を脱いで頭陀袋に入れた。
そして、引っ掛ける所が無いので、ぐるっと腰回りで結んで貰い、副隊長に投擲されたのだ。
わたしはいつもより高く、方向も天井の方へと飛んで行きながら、この部屋も聖域に変わるのかな?なんて考えていたら、天井からそれは現れた。
『・・・』
わたしは目の前のめちゃくちゃ目が合っているそれが何かを認識するのに一瞬掛かった。
『っ!?ギャーーーーーーーーーーーーーーッ!』
「リーナーーーーーーーーっ!!!」
そして、認識した瞬間に腰回りの魔法の釣り糸と針が消え、わたしはニックの叫び声を聞きながら絶叫しつつ仰向けで落下した。
ベチャッ!
ドンッ!
『グエッ!?』
「隊長っ!リーナがっ!」
「ダメだっ!ニック!部屋の中に入ったら石化するぞっ!」
「だけどっ!リーナがっ!あいつの下敷きにっ!」
「くそっ!魔法を消されたっ!?ヴァージル!鑑定をっ!あれは神災級なのかっ!?」
「閣下!神災級です!我々の装備では無理ですっ!」
「そんなっ!リーナっ!リーナっ!」
「ニック!リーナはあいつとまともに顔を合わせたんだっ!もう無理だっ!」
「その上、下敷きになったんだっ!お前だって分かってるだろっ!」
「分かってるよっ!だけど、分かりたくないっ!」
ドガーーーーーーーーーーーンッ!!!
「「「「「「「え?」」」」」」」
『・・・くっさっ!ペッペッ!まっずっ!』
わたしは前世の本か何かで見た事ある様な気がするメドューサっぽい魔獣に伸し掛かられた瞬間口を開けていた。
なので、めちゃくちゃ臭い上に舐めてしまった事でめちゃくちゃ不味かったから一瞬意識が飛びかけていたのだけど、あまりの激臭と激不味に色んな意味で覚醒したので仰向けのわたしの上に乗ってる魔獣を思わず蹴り上げたのだ。
ゴンッ!
『は?何?あっ!魔石っ!』
「「「「「「「・・・」」」」」」」
そして、わたしは顔面にぶつかった何かがめちゃくちゃ大きなキラキラと光り輝く魔石だったので、ルンルンで隊長の所に持って行ったのは言うまでもない。




