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その16

 『あ〜!楽しかった〜!』


 わたしは延々三時間の討伐が終わり、ダンジョンを出た所の明るい安全地帯で皆んなと一緒に上機嫌で休憩をしていた。


 前世のわたしだったら、あんな勢いで投げられては引き戻されるのを繰り返されたら確実に死んでるだろうけど、何せ今世はどこもかしこも頑丈な獣人なので直ぐに絶叫マシーンに乗ってる感じになって、めちゃくちゃ楽しでしまったのはしょうがないと思う。


 「今日はこの安全地帯で野営とする」


 「「「「「「はっ!」」」」」」


 『はっ!』


 この世界のダンジョンはあるあるなので、ダンジョンを出た所に安全地帯と地上に戻るワープゾーンがあるのだけど、その安全地帯はダンジョンにより広さが異なるらしい。


 そして、今回のダンジョンの部屋の中は暗いし安全地帯は狭いとの事で、討伐遠征組は隊長と副隊長と第一班とわたしの編成となったのだ。


 わたしとしては実際にこの目で見るまでは、それなら前回みたいに安全地帯じゃなくてめちゃくちゃ広いらしい部屋の中で野営すればいいのでは?と思っていた。


 だけど、このダンジョンの部屋の中は小さな光りでぼんやりと薄暗かったのに加えて、全討伐後には小さな光りが全部消えて真っ暗になったので、この人数で正解なのだと思った。


 そして、わたしは思い思いに固い石床に寛ぐ皆んなを尻目に、頭陀袋からいそいそと袋に入った野営セットを取り出したのだ。

 

 「え?リーナ、それって野営セット?」


 わたしはニックにそう聞かれたので大きく頷くと、野営セットを指差してから両手を胸の前で組んで少し首を傾げた。


 「・・・えーっと、その野営セットを設置したらいいの?」


 わたしがニックの察しの良さに大満足で大きく何度も頷くと、ニックは笑顔で請け負ってくれて、あっと言う間に超高級テントを設置してくれた。


 そして、わたしはニックが魔力を流して設置してくれた大きくて豪華なテントに、野営セットに入っていた他のグッズを頑張ってテントの前に設置してから取説をざっと読んで、テント前に設置した肘掛け椅子に座ってみた。


 『うん!完璧!』


 わたしは肘掛け椅子の座り心地に大満足したらちょっと眠たくなって来たので、そのまま肘掛け椅子で夜ご飯までお昼寝をする事にしたのだ。


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 わたしが爆音で目が覚めると、皆んなが携帯食料を齧りながらこちらを見ていた。


 『・・・あっ、わたしのお腹の音か〜』


 グオォォォォォキュルルルルルルルッ!


 そして、また爆音が鳴り響いたので、わたしも夜ご飯を食べる事にした。


 わたしは肘掛け椅子から下りると、設置した高性能らしい大きなコンロに置かれた大きな網の上へ、頭陀袋の中に領都の市場で買って入れておいた肉や野菜を並べ、大量のお米を大きな炊飯器に入れた。


 そして、こちらを唖然として見てるニックの所に行くと、テントの設置の時と同じお願いのポーズをしたのだ。


 「・・・えーっと、何だろ?一緒に食べたいのかな!?」


 「火を点けろって事じゃね?」


 わたしはアークに向かって正解と言う感じで指差すと、ニックは苦笑しながらかなり低いけど、わたしにはぴったりの高さにある魔法具のコンロと炊飯器に魔力を流してくれたので、わたしはニックに大きくペコリとお辞儀した。


 そして、少しするとお肉と野菜が焼け始め、辺りには香ばしい香りとお米の炊ける良い匂いが漂い始めたのだ。


 わたしは野営セットに入っていたお皿とカトラリーを用意すると、水筒のお水が残り少なかったので副隊長の所に向かった。


 「・・・水ですか?」


 わたしが大きく頷くと、副隊長もちょっと苦笑しながら氷水を水筒に入れてくれた。


 そして、わたしは今日の夜ご飯の一人焼き肉を始めたのだ。


 『うんまーっ!やっぱり焼き肉は良いよね〜!』


 わたしが焼き肉に舌鼓を打っていると、めちゃくちゃ視線を感じたのでそちらを見たら、ニックが物凄く切なそうな顔で見ていた。


 わたしは察して、お皿に白ご飯を盛るとその上に焼けたお肉と野菜をたっぷりと乗せてから焼き肉のタレを多めにかけて、フォークと一緒に渡しに行った。


 「も、も、もしかして分けてくれるのっ!?」


 わたしがテントのお礼だしと思いながら大きく頷くと、ニックの顔はぱあっと輝いて受け取ってくれた。


 そして、また強い視線を感じたのでそちらを見ると、副隊長がじっとこちらを見ていたので、わたしは氷水のお礼に同じものを持って行った。


 「なるほどな〜。今迄は野営なんて携帯食料が楽で良いだろって思ってたけど、これはヤバいよな〜。リーナ、ここにイカとホタテがあるんだけど、焼いて良い?勿論リーナの分もあるよ?」


 わたしがカイルの申し出に快諾したのは言うまでもない。


 そして、結局、カイル以外も皆んな何かしらの食材を持っていたので、一人焼き肉から皆んなでの焼き肉パーティーとなったのだ。


 わたしはたらふく焼き肉を食べ終えると睡魔が襲って来たので、片付けをしてから早目に寝る事にした。


 「リーナ、もう寝るの?」


 「なぁ、リーナ。このテントって何人用なんだ?」


 わたしは片付けを手伝ってくれていたニックに頷いてからテッドにそう聞かれたけど分からないし面倒くさかったので、頭陀袋の中から取説を取り出してテッドに渡した。


 「・・・へぇ、十人用か」


 「リーナ、少しテントの中を見せて貰ってもいいですか?」


 わたしは副隊長にそう聞かれ眠いのにと思ったけど、また氷水を入れて貰うしなと思い頷くと、副隊長は物凄く良い笑顔になり、結局全員にテントの中を見せる事になったのだ。






 


 

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