4話
地下10階の草原エリアに広がる広大なセーフティーエリア。 安全な水と大量の薬草に支えられ、ついに『中回復ポーション』の作成も軌道に乗り始めた頃。この絶対的な安全地帯の存在に目をつけた巨大な勢力があった。
大厄災以降、身を潜めていた『再生政府組織』である。 彼らはこのモノリスを中心とした広大な結界内が、人類の本格的な復興拠点となり得るか、そして各地に散らばった首都機能を集約できるかを判断するため、重武装の調査団を派遣してきたのだ。
しかし、そこで彼らは大きな懸念に直面した。 川から無料で魔力水が汲めるようになったことで、人々はモノリスから魔力水を買わなくなった。その結果、セーフティーエリア拡張のスピードが目に見えて鈍化してしまったのだ。
「モノリス様の成長が止まってしまった。このままでは、今後の人口増加と首都の開拓に耐えきれないぞ」 「……もしかして、タダで川の水を汲むばかりではなく、あのモノリス様から直接品物を購入しなければ、結界の力は強まらないのではないか?」
政府の調査団や開拓村の学者たちは、結界拡張が鈍化した原因について推測を立て始めた。 かくして、人々の間では「結界を維持・拡張するためには、やはりモノリスへの魔核の奉納(購入)が必要不可欠である」という推論が広まり、再び自販機での購入が推奨される流れへと変わっていった。
――そんな国家的な調査と議論が交わされている裏側。 ただの初心者探索者である私は、地下6階の薄暗い通路で信じられない場面に遭遇していた。
「おい、しっかりしろ! 死ぬな!」 「だ、だめだ……ゴブリンの群れにやられて……出血が……ッ!」
血まみれになって倒れている男と、必死に彼を介抱する仲間の探索者。 見れば、男は腹部を深くえぐられており、今すぐ『中回復ポーション』以上のものを使わなければ確実に死ぬ重傷だ。しかし彼らの手元には、気休め程度の止血薬しかないらしい。 いくら前世が50歳のサラリーマンとはいえ、今の私は15歳の少女。こんなグロテスクな死地に出くわしたことはない。見捨てて逃げるか? いや、私にはアレがある。 鑑定魔術にも表示されない、私のもう一つのふざけたユニークスキル。
(やるしかない……!)
私は意を決して物陰から飛び出した。 「ちょっとアンタ! どいて!!」 「な、なんだお前は!? 素人が近づくな!」 仲間の探索者を無理やり押し退け、血まみれの男の真正面、ピッタリ1メートルの位置に陣取る。 そして、両手で自分のスカートの裾を掴み――勢いよく、前を捲り上げた。
「「…………は?」」
瀕死の男と仲間の探索者が、ポカンと口を開ける。 無理もない。死にかけている男の目の前で、見ず知らずの少女がいきなり自らのショーツを大公開したのだ。 羞恥で顔から火が出そうになりながらも、私は自分のショーツが男に向いていることを確認して必死に願った。 (治れ! 頼むから治れ……っ!!)
その瞬間、私のショーツが神々しいほどに眩い光を放った。 暖かく、柔らかな光の粒子が倒れた男を包み込む。すると、男の腹部の深い傷が、最高級の中回復ポーションを丸飲みしたかのような勢いで瞬く間に塞がっていくではないか。
「な、なんだこれは……傷が……完治した!?」 「バカな、神聖魔術か!? いや、それよりもパンツが光って……!」
奇跡の回復に戸惑い、そして眩しすぎるショーツの発光に目を眩ませる探索者たち。 私は「あっ、これマズいかも」と咄嗟に正気を取り戻し、スカートを下ろすと、脱兎のごとくその場から逃走した。
「ま、待ってくれ! 命の恩人よ、せめて名前を――!」
後ろから聞こえる叫び声を無視して、私は全力で走り続けた。 (ふざけんな! 名前なんて教えられるか! 恥死するわ!!)
こうして、地下10階で首都機能の移転に向けた真面目な調査が行われているその裏で、『パンツを光らせて人を救う謎の美少女』という新たな都市伝説が、ひっそりと産声を上げたのであった。
AIと一緒に作りました。




