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第二話 料理を作ろう

 俺はすぐさま、調理室に向かい、準備をする。


 料理を作って、それを食べてもらえれば信頼されるはずだ。そうに違いない。


 こう見えて料理には圧倒的な自信を持っている。小さい頃から両親に鍛え上げられた味覚は伊達じゃない。

 王国一とも言える学院で料理学を学んで、主席で卒業した。


 教授の言葉を借りれば、大体のことは料理で解決する。おいしい飯を食べれば、人は機嫌が良くなる。

 

 ならば、他種族も違いはそうないはずだ。


 

 作るのは――香草を効かせた白身魚の蒸し焼き。


 理由は三つ。


 一つ、脂が少なく軽い。

 二つ、香りで訴えられる。エルフは嗅覚が鋭い。

 三つ、素材の質を誤魔化せない。料理人の腕が出る。


 下処理を丁寧に行い、臭みを取るために塩を振る。

 香草は香りを残すために刻みすぎない。


 火加減は弱め。


 蒸気がふわりと立ち上る。


 ――いい。

 悪くない。


 皿に盛り付け、最後に軽く香草を添える。


 見た目、香り、温度。


 全てかなりの上出来である。


 俺はそれを持って、二人の元へ戻り、食事です、と言った。


 イブが、ちらりと皿を見る。

 少しだが、視線が止まった。


 これは――いける。


「白身魚の蒸し焼きです」と皿をテーブルに置く。


「香りでもわかるように、香草が効いていて――」


 ぱんっ。

 

「……なんか臭いわね」


 そう一言、告げられ、皿が弾かれた。

 料理が床に叩きつけられ、形を失う。


「ダフォン、行きましょう」


「はい」

 

 イブは何事もなかったかのようにそのまま部屋をあとにした。

 残されたのは、床に散らばった料理と、俺。


 あれだけ頑張って作ったのに、とかそんな気持ちにはならない。

 とりあえず、エルフへの憎悪だけが増えるばかりだった。

 

 ◇


 それから二日。

 二人はずっと何も食べていない。


 水は減っているが、食事には一切手をつけていない。イブに至っては部屋からもう出てこなくなった。


 完全な拒絶である。


 信頼はそう簡単に生まれない。そう思った次の朝。


 誰も食べやしない料理の準備をしていると、厨房にダフォンが入ってきた。


「えっと、どうしましたか? ダフォンさん」


 表情がまるで読めない。


 笑ってこそいないが、余裕がある顔。

 その気になれば、ここで俺を瞬殺できる――妙な圧。


 さすがは姫に仕える執事。

 ただの従者、というわけではないらしい。


 するとダフォンは手を広げる。そしてこう言った。


「私がお前の料理、食べてあげよう」


「え?」


 思わず声が出た。


 俺の料理を?

 目的は?


 目の前の強者。

 その行動がまるで読めない。

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