旅人との遭遇
黒い影はイスにもたれ掛かり、何もない天井を見上げる。
「……」
何かを考え込んでいるのだろうか……数分ほどその態勢のまま動かない。
そして、再び起き上がると先程のモニターを何やら操作している。
すると、以前出てきた一枚の家族写真を取り出す。
「……待っててくれ……もう少ししたら皆でそっちへ行く。」
黒い影はそう呟くと、その写真だけを取り除き、もう一枚の写真を手に取る。
そこには○○小学校入学式と書かれている校門の前で笑顔で立つ少女の姿があった。
だが、部屋が暗いせいかよく見えない。
影はその二枚の写真をみて、涙を浮かべていた。
その頃霧に悩まされながらも、着々とあしを足をす進めるライムたち。
このまま霧が続くと、もし敵が出てきたとしても戦闘は避けた方が良いだろう。
普通に歩くのでさえ困っているのだから。
「道も分からないし、辺りの状況も分からない……1回ここらで止まった方が良いんじゃないか?」
ライムはこれからの事を心配し、三人に提案を持ちかける。
皆で寝泊まり出来るところをなんとか探し、茂みに囲まれた所で霧が薄くなるのを待つことに。
「霧が凄いねぇ~」
マカは辺りを見ながら、心踊っていた。
辺りは異空間にいるような、異様な空気を放っていた。
「こんな視界の悪い所ならモンスターがいないのも分かる気がします」
「まさかこんな事で足止めをくらうとはなぁ」
アゲハも怠そうに横になると、ため息をひとつ吐く。
ライムも辺りを見て、何かをキョロキョロと探している。
そんなライムをアゲハは見て、首をかしげていた。
(?あいつさっきから何みてんだ?)
一方ライムの方はそんなことも知らずに辺りを見回す。
(モンスターは……来なさそうだな、いち早く見つけた方が安全だ)
四人が林の中待ってどれくらいになっただろう、霧もだいぶ晴れて視界も開けてきた。
「だいぶ晴れてきたし、もうそろそろ行こっか」
そう言いながら、ライムが立ち上がると、四人は森を進んで行った。
今が朝なのか昼なのかも分からない、四人が慎重に足を進めているとマカの足がピタリと止まる。
「ねぇ?あそこに人影がない?」
「え?どこですか?」
急なマカの発言に三人はマカの言う人影を探しだす。
見つけた四人は影をじっと見つめる。
それは少しずつ四人に近づいていた。
逃げようともしたが、何か情報が貰えるかもしれないと、相手と合流することに
近くまで来ると、相手はどうやら旅人の様だ。
大きなリュックに腰に掛けてある水筒、深く被った帽子に杖。
向こうもマカたちに気づいた様で、急いで近づいて来る。
「いやぁ、こんな森の中で人に会うなんて、珍しいこともあるもんなんだなぁ」
おじさんはにこりと笑うと腰に掛けていたタオルで霧で付いた滴を拭き取る。
「旅人さんはどこから来たんですか?」
そうマカが訪ねると、まだ三、四日は先だと聞き、出口まで程遠い事を知らされると、力をなくす四人だった。
「俺もなんとかここまで無事に来れたが、気を付けた方がいいぞ? 霧の中モンスターに襲われたら圧倒的に不利だからな」
その言葉を聞き、不安が募る四人の姿を見て、旅人は何か考えると、思い付いたかのように手を叩き、四人に提案する。
「もし良かったら、途中まで俺が案内しようか? 裏道を通ってきたからモンスターはなかなか出ないと思うんだが」
その言葉を聞くなり、マカは飛び上がって喜ぶ。
「えぇ!? 本当ですか!?嬉しいです! 」
「まぁ、多い方が良いとは言うしな、宜しくな! じいさん!」
アゲハはそういうなり背中を思いっきりどつく。
そのせいで少しよろめくと言う大変頼りがいが無さそうだが、道を知っているということもあるので、四人と旅人は一緒に森を出ることに。
先程よりも霧が晴れ、進むのに障害無いほどになった。
そして何故かマカと旅人は意気投合している。
「え!? すごーい! 楽しそうだなぁ」
「ハハハ、君達も旅人じゃないか、これからいろんな事に巡り会えると思うよ?今だってね」
旅人はそういうと一人一人の顔を見て微笑む。
四人もそんな優しい旅人といると、何だか危険なところにいるのは変わり無いが心落ち着く気がした。
結局その日は旅人が一夜を越したと言う洞穴に隠れて休むことになった。
団欒と火を囲んで話をするなか、その時間は刻々と迫っていた。




