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Ⅱ 蠢動 ー3
昼の街道は往来も多く、敵に見つかる危険が高かったが、夜の街道は盗賊に遭遇する懸念があった。
一頭の馬に若い男女が二人乗りし、疾走していれば、駆け落ちぐらいにしか思われず、金品目的に襲われる可能性は低いが、それでもかち合ったら何をされるか分からない。
少しでも距離を稼いでおきたくて、ターシャたちはルークスを走らせた。都まで馬を走らせれば丸一日で着くが、徒歩だと五日かかる。
走ればそれだけ目立つが、時間には代えがたかった。
夜風が気持ちいい。
緊迫している時であるにも関わらず、ターシャはそんなことを思った。
今ルークスに乗って、ナルといることが、どこか非現実的な気がした。もしかして、今から自分は目が覚めるのではないかという気さえしていた。
ああ、そうか、夢だったのか、と落胆する自分まで想像できた。
それに比べて、父と母とユースティスの安否が分からないという絶望的な状況は、現実のこととして、もうしっかり自分の中に根付いていた。
どう泣き叫んだところで、覆ることはない。




