表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第二話:新しい犠牲者と雨の音

馬車から降り立ったのは、茶色の髪と琥珀色の瞳を持つ、女性と少年だった。

新しい母親と、義理の弟。シェーラは無感動に、窓辺から彼らを見た。

母親は、恐怖を意思で抑えているような、そんな瞳をして

少年は、怒りが揺らぐ瞳をして

同じ髪の色、同じ瞳の色なのに、二人は対照的な様子だった。


窓辺から冷めた瞳で彼らを見つめる娘。化け物と結婚させられた人身御供という、腫れ物扱いの男に再婚相手として嫁ぐのだ。内心は動揺しているのだろう。そしていま、シェーラの心まで、ひんやりと冷えていました。


でも、彼らには立場上、挨拶せねばなりません。シェーラは侍女が見送る中、自室を出て階段ホールへと向かった。


階段ホールに入ると、ちょうど父親が彼らを案内してくる瞬間だった。だが、いつもの父親より、もっと冷たい表情をしていることに、シェーラは気づいた。


厳しい表情をした父親が、玄関から彼らを案内してくる。シェーラはホールの上から、手すりに手をかけて、冷徹に彼らを見下ろした。


これが新しい犠牲者か、と無感動に見ていると、後妻の顔はみるみる青くなり、一方義弟はなぜか赤くなりました。


「シェーラ、この女性はリディアだ。この子はカイル、お前の弟になる」

温度を排した声音で父親はそう言った。


シェーラはゆっくりと瞬きをしました。了承の意味を込めて。

「よろしくお願いします」

無感動な瞳のまま、声だけを淑女らしく整えて、シェーラはそう告げた。後妻はヒッと息を飲み、義弟はなぜか彼女を睨みつけた。


領主である祖父も参加する、親睦のための初めての晩餐。

そのはずだが、状況が全く改善していないことに、シェーラは気づいていた。

眉根を寄せたまま、どこか苛立ったようにワインを啜る父親。

震える手でフォークとナイフを扱い、なんとかマナーを守って食事を進める後妻。

ほとんど食べずに、時々娘を睨む義弟。

祖父だけが上機嫌で、今回の縁談でどれだけ自領が有利になったかと語っていた。


居心地がいいとは言えない時間だった。


晩餐が終わった後、機嫌良く退室する祖父。新妻の方を振り返りもせず、廊下へ向かう父親。俯き、震える手でナプキンを命綱のように握りしめる後妻。

そんな自分の母親を気遣わしげに見た後、義弟は娘を見ました。そこには、怒りと、恐怖と、あとはなにか、分からないもの。

シェーラは静かに目線を外すと、さっと退室した。


後日、歴史の授業へ向かうと、義弟も席についていた。

「領主様の好意で、同じ授業を受けさせてくれるそうだ」

そうぶっきらぼうに告げて、プイッとそっぽを向いてしまう義弟。彼は娘が嫌いなようだった。

「そう」

シェーラはそう答えると、静かに席へ座りました。


その授業でも、次の授業でも、相変わらずシェーラの受け答えには無駄がなく、的確で、応答のスピードも早いものでした。

日が落ちる頃、義弟は呆然としていた。

スピードが早すぎたのだろうか。


「初めての授業だったのでしょう?とても立派にこなせていたわ」

珍しく親切な言葉を伝えるシェーラに、なぜか義弟は一瞬泣きそうになり、そのあと怒りと屈辱が彼の顔には滲んだ。


「うるさい!お前みたいな奴に、分かってたまるか!」そう言葉を投げつけると、彼は憤然と扉を叩きつけ、部屋から出ていった。


シェーラは、唖然として彼を見送った。なぜ彼は怒ったのか。自分は何か間違っていたのか。

答えが出ず、彼女は軽く首を傾げると、分厚い教科書を何冊も、丁寧に鞄にしまった。


ふと、窓の外を見る。雨が降り出していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ