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第一話:砂漠に咲く白い花

赤龍の娘。シェーラと名付けられたその子の人生は、寂しい始まりだった。


父親は、妻が去ったその夜から、娘とほとんど触れ合おうとしなくなった。赤ん坊の頃に、抱き上げ、笑いかけ、優しく話しかけていた彼を覚えているのでしょうか。

時々、小さなシェーラは父親を、その紅玉の瞳でじっと見上げていた。

髪も、服装も、靴先に至るまで、完璧に整えられた小さな淑女の姿で立つ娘。そんな彼女を、父親は無視し続けた。


対して祖父は、シェーラにとても公平な接し方をした。

彼が与える教育は、貴族の娘に対しては過分なものでもあった。

ダンス、音楽、美術、マナー、語学、歴史、経済、数学、果ては剣術まで。

それこそ、考えつく限り多くの知識を、祖父はこの孫娘に期待していた。

娘は、祖父の視線が時々自分を「孫娘」ではなく、「有用な駒」として見ていることに気づいていましたが、それはそれ、これはこれです。

ありがたくどの授業も、自分の財産として受け取ろう。それが彼女の心の声でした。


屋敷にいる老いた執事だけが、たまにポツリとシェーラに「奥様」の話をしました。


「エラお嬢様」

「赤龍様は本当に美しい方でした。あれほど美しい女性は、今後見ることはないでしょうな。背も高く、旦那様とほとんど変わらないほどだったのです。なのに旦那様と並ぶと、時々優しく、たおやかに見えたもので。不思議でした」


この執事だけは、母の姿を「恐ろしい怪物」ではなく「美しい奥様」として娘に話した。

娘はそれを聞くたびに、なぜか胸の中には人恋しさが募るのだった。


あるときは語学の授業で、複雑な語法や単語をものともせずに、数か国語をまるで母国語のように話し、見事な応答を行う彼女に。

またあるときは、ダンスの授業で、習った型を崩さず、かつ魅力的に自由舞踏を演じて見せる彼女に。


教師たちは熱狂しました。どこか恐怖を含んだ瞳で。こんなに優秀な生徒には会ったことがない。彼女は特別だ、とどの教師も頷きます。


ありがとうございます、と淑女の礼をとりながら、シェーラは自分でも不思議でした。

なぜこんなに乾いているのだろう。


まるで本で読んだ、砂漠に咲く一輪の花のようだ。

たった一瞬のスコールを待ち、耐え続け、雨が降ったその日にだけ生き返る。


気まぐれに、庭園へ散歩に出かける彼女。

滅多に訪れない場所だった。なぜか屋敷の中で人気が少ない場所なので、シェーラはすこし気が咎めてしまった。

でも、同時にほっと息を吐いた。


ここは、なぜこんなに白い花が多いのだろう。

ぼんやりと彼女は考えた。少し疲れているのか、彼女は目を閉じた。

白い花の香りだけが、彼女を優しく抱いていました。



そんな孤独な日常の中で。

ある朝、馬車が屋敷に到着した。

ご一読ありがとうございます。

孤独な砂漠に佇む彼女が、これから「人間の知恵」と「竜の血」をどう開花させていくのか。

そして、彼女の心をかき乱す不器用な義弟や、宮殿の闇で待つ底知れぬ従兄との、少し歪んだ関係性へと繋がっていきます。

彼女の旅路に、しばらくお付き合いいただけたら嬉しいです。

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