秘密の贈り物
私はライアンと初めて発見した、洞窟に採掘開始前にライアンの19歳になった時の約束のプレゼントを小さな木の箱に入れ、約束の場所に短い手紙を添え埋めておいた。
これを見たライアンはどんな顔をするだろう、喜んでくれるかな、それとも困った顔をするかな、想像すると楽しかった。 お父様に連れられ、薔薇の肌水の打ち合わせに来る途中洞窟で馬車から降ろしてもらった。 洞窟はきれいに整備され、以前のように危険な場所はどこにもなかった。
隣の子爵領に着くと、ライアンは薔薇園にいた。 移動しなかったゴムの木は半分はだめになってしまったが、被害は最小限に抑えられたようだ。 ゴムの木の挿し木の植え替え作業もだいぶすんだようだ。 彼は薔薇を大切に育ててくれていた。 バラの花に顔を近づけて何か花に話しかけているようだった。 大男に薔薇の花はあまりに似合わないが、ライアンの働く姿を見て、美しいと思った。
今、薔薇に話しかけていたでしょ?と私が彼に聞くと、顔を少し赤らめて、ニッコリ頷いた。
そうそう、その笑顔が私は好きなんだよね。 去年を無事過ごせばあと10年ぐらいはあんな寒い冬は訪れることはないから、ここはすべて薔薇で埋め尽くしてほしい。
隣の子爵家と何種類かの化粧品、美容、健康飲料の事業が成功すれば、隣の子爵家への恩返しは終わる。
その時何気に、フッとそんな思いが頭に浮かんだ。 そんな考えを打ち消すように、私はライアンに、今日の昼は私のお母様が作った,パンにシチュウが入ったパンシチュウとチーズ入りのパンだよ、沢山あるから、みんなで一緒に食べようと誘った。
この年、ライアンの心からの笑顔を見たのは、これが最後だと言うことを、その時の私は知らなかった。




