白い雪原
短く雨ばかりの秋が終わり、王国はすっぽり冬の寒気に覆われた。
秋の長雨の時にせっせと食料を蓄えたので、子爵領はさほど影響は受けなかったが、今年はいつも年末に降るか降らないか程度の雪が冬の初めから降りてきた。
ライアンはちらほら雪の降る中、頻繁に薪や肉を持ってきてくれた。 ごつい体に、黒い毛皮の防寒着を着たライアンは、まるで熊だ、と言いたかったが、山男にしておいてあげた。
今年は薪がたくさん売れそうだね、良かったね、ライアン。
我が領は、薪や肉のお返しにジャガイモや人参、乾燥豆、冷凍野菜などと乳製品などを持っていってもらおう。
移しきれなかったゴムの木には我が領で刈った麦を藁にして、ゴムの木に巻き付てけてもらった。 今年の冬なんとか持ってもらえればよいけど、、、前回はほぼ全滅しちゃったから、難しいのかな? 幸い温室に挿し木したゴムの木とあたたかい海岸側に植え替えたゴムの木は、無事成長してるようなので、今回、全滅は免れそう。
レインコートと傘を売ったお金で、来年になり暖かくなったら、海岸に植える、特殊な松をたくさんプレゼントするから楽しみにしていてね、とライアンにいったら、「松のプレゼントはあんまり嬉しくないと」と彼は答えた ライアンへのプレゼントは、やはり食べるものがよいのかな? 特殊な松の樹液から、美容に良いフラバンジェノール、ピクノジェノールがとれるんだよ。
蒸気を使い、薔薇から抽出した 薔薇水と薔薇のオイルと一緒にこの松からも化粧品を作ろうと話したけど、ライアンはあまり化粧品には興味がないみたい。
今、我が領では山羊を飼っていて、山羊のミルクから石鹸を作る研究をしてるから、薔薇のオイルを石鹸にいれて良い香りの石鹸を作る予定だけど、山羊が可愛いから見に行く?と聞くとにっこり笑った。
どうやらライアンには化粧品や石鹸より山羊のほうがいいらしい。
雪の降る牧場を馬車で走ったら、一面の銀世界、まるで別世界のようで、寒さなんか忘れた。
山羊のいる小屋に行くと、牧場のおじさんが山羊ミルクを絞って、殺菌して温めて出してくれた。
山羊とたくさん遊んで、楽しかった。 なんだか昔の17歳のメリーアンに戻ったみたい。
今の私は過去世の重い荷を背負ってるからな、18歳になるのが、なんだか怖い。 森林が多く雪の深い隣の領には私たちの馬車では行けなくなる可能性があるから、12月の私の誕生日は、来年すぐ18歳になるライアンと一緒に合同誕生日を少し早めにするって両親が言ってた。
帰りの馬車で私が寒いからって自分の毛皮を貸してくれたけど、私を見て、なんだか子熊のぬいぐるみみたいだな、って笑っていた。 もうすぐ18になる私にそれを言うか?どっちが熊だ、と私は言い返した。 18歳か、なんだか、気が重いな、もう少しあなたの側で子供のようにしていたいけど、そうもいかないよね。 私はライアンが雪の中を馬車を走らせる隣で深いため息をついた。
そのため息は白銀の雪の中に消えて行った。
館に戻り、子爵様にも持って行ってほしいとライアンが持って来てくれた、茸と肉のミートパイをいっぱい焼いてライアンに渡した。
ライアンはアツアツのミートパイを我が屋敷でもたくさん食べたのに、まだ自分の屋敷に帰って食べるみたい。 ライアンが帰った後、松じゃないプレゼントを何かライアンに考えないといけない、
手袋とマフラーでも今から編もうかな? 何かもっと記念になる物を、、、その時の私は彼へのプレゼントを考えていた。




