雨到来
ほとんどの小麦を刈り終えた前日の夜から、雨はぽつぽつ降り始めた。
次の日、私たちは農家の人たちの残りの小麦を刈り素早く乾燥倉庫にいれた。
余り出来の良くない一部の麦は乾燥させて、家畜の餌として大切に保管した。
雨は一週間ほどは弱く降っていたが、やがて強い雨が降るようになり、人々は傘やレインコートをを雨の合間に買いに来るようになってきた。 その後雨は降りやまず、一か月たったころには、小さなハリス商店の商品はすべて品切れになってしまった。 慌てて倉庫から補充したが、そのころはバケツ、ライアンの持ってきた長靴も売れ始めた。 私はライアンが長靴を補充に来た時、自分たちの領は必要な人達にはすべて配り終えたので、大きな倉庫の商品はライアンの領で使ってもらうよう言っておいた。
雨が降りづつき2か月たった頃にはすでに第二、第三倉庫が遠方の伯爵領、侯爵領からもその領の商会を通して注文が入り、空になった。 個人的に買いに来る貴族もいたが、遠方の領ではレインコー、傘、長靴は多くは商会を通し、まとめて買いに来る。 メディオン伯爵領からも商会を通して引き合いがきたが、メディオン家にはあまりお金がないことを知っている私は、あの領には大切な友人たちがいるので、安価で売ることにした。
今回はお金儲けよりハリス商会の信用を得るためのものだから、遠方から買い付けに来てくれた貴族や商会にはなるべく良心的な値で売ることハリス商会にお願いした。
夫婦たちも、気持ちの良い取引が出来ると、喜んでいた。
高級なレインコートの裾に施された開いた傘と、閉じた傘の小さな刺繍は貴族の令嬢のちょっとしたステータスになったようだ。 上級貴族婦人達にとても高値で売れたようだ。
3か月降り続く記録的な雨で、何処も、傘、レインコート不足に陥り、その影響は王都にまで及んだが、倉庫にあった商品がすべて売り切れるまで雨は降り続いた。




