メリーアンとライアン
いつの頃のことだろうか? 私はライアンを前世、遠ざけてしまったのは? 私は寂し気な彼の横顔て、昔のことを考えた。 前世、私とライアンは子供の時からいつも一緒だった。
父は平原だらけの領を引き継ぎ、領主になった時、我が子爵家は酷く貧乏だった。
領は主に酪農をやっていたが、父は次第に農業に力を入れるようになった。
父の多くの努力ですこしづつではあるが野菜や果物がとれるようになってきたが、依然として我が領は貧乏であった。 隣の隣の領も領土は南北に長く大きかったが、森林ばかりで、我が家と同然貧乏であった。
私の領に隣の領主様が、冬にたくさんの薪を住民に分けてくれたことをきっかけに、両貧乏領主は極めて仲良くなり、父は隣の領にその年たくさん収穫出来た、野菜や果物をわけたりしてお互いの領を助けあっていた。 私もライアンも父達の交流でいつも一緒にいた。
2人が貴族の子供パーティーに行くと、いつも貧乏嬢ちゃまと坊ちゃまと回りの貴族の子供達に服装などで馬鹿にされていた。 私はとても気が強かったので、彼等に食って掛かり、いつも喧嘩になった。 そんな時ライアンはいつも私の盾になり庇ってくれた。
そんなことが何度か続き、いじめっ子の兄の大きな男の子が相手でも、彼は怯むことなく私を庇い私のために戦ってくれていた。
彼は、体は小さかったけど力は強かったので、まわりのやんちゃ貴族の子供に叩かれたり蹴られたりしたが負けなかった。 彼は私の護衛のように常にそばにいてくれた。
そんな彼も父親の仕事を手伝うようになると、みるみる大きく逞しくなっていった。
そんな彼ををすこし疎ましく思うようになったのは、私の領の作物が豊かに実りその資金で行った事業や投資が成功して隣の領と大きな経済的隔たりが出た16歳頃からだった。
私は貧乏が嫌で、貧乏を馬鹿にされたことが、心の奥でくすぶっていた。
私は父にお願いして、学校に行き、父の事業を手伝うべく学問をする道を選んだ。
いつまでも子供っぽく私にまとわりつくライアンからすこし距離を持って付き合おうと思っていた。
それでも私は、伯爵家のドナルドと出会う前までは、将来隣の貧乏子爵家のライアンの嫁になって、貧しい森林ばかりの領を父の力を借り、なんとか立て直そうと、思っていた。
伯爵家の釣書をもらい、しつこく言い寄るドナルドに何度か交際を断ったが、次第に私は3つ年上のドナルドの大人としての振舞、端正な顔、甘い言葉、すべてに夢中になってしまった。
その時に私は自分の幸せだけを考え、自分の家のこともライアンのこと、なにも考えてなかった。 私が結婚して不幸になったのは、ドナルドだけのせいではない。
彼の持ってる爵位、張りぼての見せかけだけの屋敷、美しい仮面の下に隠れた冷たく計算高い素顔、すべてを恋のため霞がかかり見抜けなかった私のせいでもある。
ライアンは私と彼との恋愛を知ると、私達の婚約を応援してくれ、金採掘の洞窟の権利の半分を足りなかった持参金代わりの一部として、私にプレゼントとして贈るように父親に進言してくれた。
ライアンは、今の私にとっては、澄んだ目をした優しい心を持った男の子だ。
前世では私の我がままに付き合い、彼や隣の領土の叔父様を大変な目にあわせた。
今世では、彼を幸せにしてあげたい。 彼が恋をしたら、今度は私は全力で彼を応援していこう。
私は彼の風でゆれるるファファな黒髪と優しく澄んだ森林のような深い緑の目を見て、すっぱくてほろ苦いこのビルベリーの実のような過去を思い出し、そう誓った。




