表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで遊ぼう!! ~配信しながら楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第1章 オンラインゲームを始める

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/200

誘拐されちゃう!?


「ところで、受け付けさん。ギルドに他のプレイヤーが見当たりませんけど……」


「この建物に入る前に、ソロモードとマルチモードの切り替えをすることによって、仲間をたくさん呼ぶことができる設計になっております。パルトラ様も仲間をたくさん呼ばれると良いですよ!」

「なかま……ですか……。いまはまだ……その……作る気がなくて」


 私は言葉が詰まる。


:どうした??

:以前やってたMMORPGの最初のほうだと、もっとイキイキしてたのに

:過去を掘り返すのはやめないか?

:それもそうねぇ


 配信ログでは見透かされている。

 私自身、分かっているつもりだけど、孤独の寂しさが何処までもつきまとってくるのは、もう嫌だった。

 だけど、現状まだ何も変えることが出来ていない。


「パルトラ様の気分が優れない時には、一度ログアウトするのをおすすめします」

「いえ、そういうことでは……」


 受け付けの者にも心配をさせてしまった。本当に申し訳ない。

 せめて顔の平常心は保たないといけない……。


 そう思った矢先、私の手元にメッセージが届いた。

 送り主はタクトからである。


 この人は、お友達ではない。

 けど……何を書いてきたのかは気になる。


 私はメッセージを読むことにした。


「俺の師匠が、お前に譲りたいものがあるらしいんだ。広間まで来いってさ」


 と、書かれていた。


 これは、タクトによる罠かもしれない。けど、何となくこのメッセージは信用できそうだった。

 タクトは一度戦ったから、というのもあるかもしれないけど。


「とりあえず、外に出てみます……」


:ギルドの外に行くのか

:おおう、冒険だねぇ

:気を付けていくぞい


 配信ログを軽く確認してから、私はギルドから出ていく。

 そこから一歩踏み出して、メールに書かれた約束通りの場所へと向かおうとした時だ。


「むごっ……」


 ギルドの外へと踏み出て早々に、私は口を押さえつけられた。


:いきなり?

:これは酷いw

:運が良くなかったというべきか


 腕でぐっと締め付けられると、掠れた男性の声が、私の耳元に届く。


「すまない、ここはひと目が多いことを忘れていた。指定場所を安易に考えていた、俺様の不手際もあるのだが……」


 なんだこれは。

 黒髪の男が走っていた。

 私は黒髪の男に捕まっており、両足が宙ぶらりんとなっていた。


:あっ

:これは、あれか……

:いきなり誘拐されてる

:ゲームで誘拐されるとは、これは謎展開すぎるねぇ

:やはり見た目が子供だからか

:抵抗はできない感じ?

:無理だろうな

:両足が宙ぶらりんだから、うまく踏みとどまることが出来ないというか

:ご愁傷様ですわね


 配信ログのコメントが、やや騒がしい。

 このまま私は、どうなっちゃうのだろう。などと思っていると――。


「ひとまず安全地帯まで移動したから、メッセージについて改めて話をする」


 急に足を止めた黒髪の男は、私にいつでも詫びるつもりでいた。


:助かった?

:命拾いしたのか

:少なくとも無事だと思う


 配信ログの言う通り、私は無傷で平気だった。

 ただ単に、路地裏のほうへと連れていかれただけに過ぎない。


 それはそうと、ここは路地裏でしょうか。

 少なくとも、目の前にいる黒髪の男以外の冒険者はいなさそうだった。


「俺様個人的には、ひと目につかない場所を選んだつもりなんだが」

「うん。とりあえず声をシャットアウトしますね」


 私は茶色い杖を取り出すと、軽く振った。


「薄い膜か?」

「そうですね。これで他の者に会話内容は伝わらないでしょう」


 私は本題へと戻す。


「それで、私を誘拐してどうするつもりなのですか?」

「誘拐なんてのは誤解だよ、誤解。俺様はタクトの師匠だよ。弟子が迷惑をかけたから、お詫びとして渡したいものがあってだ」


 男は、銀に輝く杖を見せびらかす。


「これ、よかったら使え。俺様には要らないから」


 先端が鋭くて、槍のように尖っているこの杖を、なんと差し出してきたのである。

 なにか裏があるのでは……。

 そう思った私が受け取るのをもたついていると、男は私の顔面に向かってその杖を押しつけてきた。


「ちょっと! 何をするのですか!」

「早く受け取れ。お前、ゲーム始めたばっかりなのに固有スキルがふたつあるだろ?」

「それがどうしたのですか!」

「レア度の高い武器とはいえ、シクスオの中だと相応しい者にちゃんと持ってもらいたい、ということだ」

「ふーん……そうなんだ……。あっ……」


 なんか言いくるめられてしまった。

 あと男に力負けしたので、私の両手には銀に輝く杖がある状態に。


 お礼なんて言いにくいけど、私はゆっくりと口を開く。


「えっと……。改めて、ありがとうございます……。ところでこの杖、どのくらいの性能をしているのですか?」

「その武器には秘められた力があるのだが、お前が所持して、はじめて意味を持たらすんだよ」

「私が持ってはじめて意味を成すの?」

「まぁ、そうなる」


 男の語尾がハッキリ聞こえる。

 その後、私の右肩を叩いて。


「俺様はこれで失礼する」

 とだけ言って、立ち去ってしまった。



「ありがとう……ございます……」


 私だけしかいない路地裏で、もう一度お礼をしたが、ちょっと不思議な気分を抱く。


 私が両手で握りしめている、この銀に輝く杖。


 エグゼクトロット――。


 容易には手に入らない、SSR級の装備で間違いなかった。


「はっ、本当に誰もいないよね」


 周囲を見渡し、他人の目がないことを再確認した私は、無意識にギルドがある方向に歩きはじめていた。


:さっきの人、結局のところ親切にしてきただけか……?


 配信ログから、コメントが一つだけ流れる。


「うん、そうだね……まだよくわからないけど、慎重にギルドを目指すよ」


 私はできる限り裏道を通っていく。が、ギルドに近づくにつれて、活気あるプレイヤーたちの声が大きくなっていった。


「戦闘、やっていますね」


 目の前で、剣を交える男二人が戦っていた。

 私は、ギルドの扉がある、すぐ近くで息を潜めることになった。


「これでどうだ!」


「うあああっ!」


 戦っていた二人のうちの片方が倒れて、生き残ったプレイヤーが喜んでいる。


 プレイヤー同士の戦闘はまだまだ活発である。

 チュートリアルが既に終わっていた私は、強い装備を持っているとはいえ少し不安になる。


 せめて安全にギルドへ入る方法があったら。

 やっぱりお友達がほしい……一緒にシクスオを楽しめる方がいたら、この問題を解消できるかもしれない。


 とりあえず今は、隙を見てギルドに入り込もう。


:ギルドに帰って来れた?

:ギルドには入れてる。一応うまくいったねぇ

:それなら良かったが、あの男のプレイヤーはいったい何だったんだ?

:さぁ?

:わからないわね

:強い武器を譲った辺り、悪い人ではないのは確かだと思うぞい

:わかる

:理解できますねぇ

:それはそうと、お友達を作れるかしら?

:それは応援するしかない


お読みいただき、ありがとうございます!!

面白いと思いましたら、感想、ブックマーク、評価をお願いします。作者の励みにもなるので何卒よろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
前話にて >エグゼクトロットで床に魔法陣を描いた私は、ワープして製作部屋を出た。 今話にて >あと男に力負けしたので、私の両手には銀に輝く杖がある状態に。 〜中略〜 >私が両手で握りしめている、この…
[良い点] 物語の作りこみが著者様の頭の中でかっちりの固まっている点が見習うべきポイントです。 また主人公がやろうとしていること、考えていることが端的に書いてあるので、サクサク読みたい方には刺さると思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ