ベヒュモに行ってみる
「パルトラ様、どうされましたか?」
「フィーちゃんがべヒュモ……」
「なるほど。やはりアマノハク様を起こさないといけませんね」
シクスは、仰向けになっているアマノハクに近づく。
アマノハクは、まだ動けないでいた。
「えへへ……アマノハクが行動不能になるの、珍しい気がしますね」
「みゅ……あの手、小さな精霊たちが嫌がってました」
「精霊が意図的に避ける手、ですか」
小難しい顔になるシクスは、アマノハクを魔法で癒しはじめる。
「ふーむ」
「みゅー?」
「いえ、精霊が避けてしまう謎の手のことです。検討がつかなくて……色とかわかりますか?」
「みゅー。手の色なのです?」
「えへへ……そうです」
「それなら拙者が答えられます。あの謎な手の色は、宇宙そのもの」
「アマノハク様が見られたのは、手の形をした宇宙の景色……」
シクスには何か心当たりがあるのか、右手に緑の球体を浮かばせた。
「シクスちゃんは、何か分かったのかな?」
「コアを持ち去った手が宇宙となると……少なくとも、このゲームで作成されたものではないということです」
「この世界で作成されていない、ということは」
「はい。あるいは……」
アマノハクの世界で作られたもの。
若しくは、消失した世界線。
それを確かめるには、メイカへ会いに行く他ないと思われる。
「みゅー。ひとつ言わせてもらうと、あの手はヴィトエール大陸でも見たことがないのです」
「アマノハク様でも見たことないとなると、やはり消失した世界線で生み出された可能性が高そうですか?」
「他の世界のことなら、客観的に見れるかもしれないけど。真実を掴めるかはネフティマちゃん次第かな?」
「パルトラさん。消失した世界のことは、観測不能」
「あっ、やっぱりそうですよね。フィーちゃんのことも気になるし、メイカの現在地へ出向くしかないか……」
私はメイカの現在地が変わっていないことを再確認する。
「では、ベヒュモへ行きましょう!」
そのような提案を持ち掛けると、この場にいる皆が一斉に頷く。
:ベヒュモへの最短の行き方ってなに?
:トルードのダンジョン最奥→トルードのギルド→ベヒュモのギルド?
:ギルド間の移動ができるのか
:そうだねぇ
:ルト嬢、便利アイテムはひと通りあるからなぁ
:そうなんだ
:コメントみてたけど、初見さん来てる?
:定期的に来るよねぇ
:新しく見に来る方がいるのはありがたい
:あとでスパチャしとくか
:ルト嬢に銭を投げたら、それはそれで……
:全部ゲームの中に入っちゃうのは本当カナ?
:なぁに、好きな時に好きなだけ推していれば良いさ
:それもそうねぇ
:それはそうと、ベヒュモのギルドに移動を終える頃か
:思ったより早いw
:ほんとだ
:急ぎなのか、課金したら誰でも買える消費アイテム使ったな
:全員がそれぞれ使用してたから、ある意味この集団ヤバいよね
:まぁ、ルト嬢の配信おもしろいよ
「さてと……ベヒュモのギルドから出ると、いるのかな。メイカちゃん」
課金アイテムである『転移の羽根』をひとつ消費してベヒュモのギルドへと移動した私は、静かに息を吐く。
ベヒュモのギルドは、大きな牛小屋のデザインになっていて、どことなく農場を連想させる。
そして、外に踏み出ると……広大な牧場といえるフィールドが広がっていた。
そよ風が地面の雑草を揺らし、風車がくるくる回る。
「メイカちゃんは……」
ギルドの外に出てから周囲を見渡すも、これといった大きな異変は見受けられなかった。
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