ダンジョンを作る楽しさとは
「みゅー。ひとまず分岐のあるところまで引き返してから、考えてみるのです」
急にウインクしたアマノハクは、自信に満ちていた。
何か良い策を持っているのかもしれない。
ただ、さっき解決した黒いシャボン玉みたいな変なモノを、アマノハクの手から急に出してこないことだけを祈りたくなっていた。
「パルトラ。冒険者の阻害をするなら、通路に踏み込んだらワープとかありそうだが、どうなんだ」
「フィーちゃん、それ作るの難しそう。現時点で階層が増えてしまいますから」
「うん?? パルトラでもやっぱり難しいのか?」
「別に出来ないことはないけど、ただ……」
シクスオの世界では、大イベントとなるとたくさんの冒険者が群がって駆け寄ってくる。
その群がりに耐えられるギミックではないと、ダンジョンを冒険するというものが楽しめない気がしている。
「みゅー。ここでもアマノハクにお任せ、なのです!」
「あたしには何もわからないが、やたら自信があるんだな?」
「フィーちゃん、やる気があるしそうみたいだね。私はアマノハクさんが、また変なことしないかが心配になる……」
「みゅー。パルトラさん、次は精霊ご本人の力を借りるので心配不要ってことなのですよ」
「心配不要、ですか。それでもダンジョンマスターから見ると、心配になってしまいまして」
「別に観測、しなくても良い未来は描けそう」
「ネフティマちゃん……?」
急に出てきたネフティマが、アマノハクの行動を後押ししていた。
「観測、土属性の精霊ね。アマノハクに向かって精霊たちが寄ってきている」
「そうなの?」
「そうよ」
静まり返るネフティマは、精霊の動きを観測していた。
機敏に動いているであろう視線。
風の動き。ほのかな土の匂いもしてくる。
まだ壁も床も白くて何もないはずなのに、この何かが動いてくる感覚。
怖いというより、私は少し反省すべきだったのかもしれない。
アマノハクのことを、全然信頼しきれていなかった。
キラリのことも、そうかもしれない。
皆で作るイベント用のダンジョン。
しかも、まだ一つ目だ。これは徐々に楽しくなる予感がする。
「シクスオの世界の精霊が動くなら、別に不安にならなくても良いかな……なんてね……」
「パルトラ、何か言った?」
「別に何でもないですよ」
この場で深呼吸する私は、深く考えるのをやめた。
召喚された個体、あるいは大精霊でもないと精霊の姿を見ることが出来ない私は、ひとまずアマノハクを信じてみようと思う。
各個人による適材適所はまだ見えてこないけど、皆がダンジョンの作成に関わってきているので進行速度に問題なし。
むしろ、シクスオの運営側の立場の者が大いに喜ぶかもしれない。
「イベント成果の報酬として、いきなり冗談を吹っ掛けられるのだけは、勘弁ですけどね」
私はステータス画面を開けた。
固有スキル、天翔る銀河の創造天使の文字が視界に入ってくる。
私にだけできることを、私がちゃんとやる。
今回はこのスタンスを貫いて、神秘の地下道を作り上げようと思った。
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
次回で200話となります。これから書いてまいりますので、どうぞよろしくお願いします




