エメラルド色の浄化スキル
「新たなスキルを獲得したわね。名称は、エメラルドダストの舞台姫――」
自身のステータスチェックを行うキラリは、瞬きを繰り返す。
キラリの宝石騎士モードは、どんな効果をもたらしてくれるのか。
ちょっと気になってきた。
「うん、なるほどだわ」
「キラリさん、何かわかりましたか?」
「武器を振れば、緑の星が出るって。その緑の星に触れた味方は、一定時間体力を回復し続けることが出来るって書いてあるわ」
「回復……つまり、ノアちゃんみたいなことができるようになったということ?」
「使用感が違うと思うわ。緑の星による回復は即効性がないから、どちらかというと長期戦向きで……良いサポート効果には間違いないけど」
ステータス画面を閉じたキラリが、のこのことダンジョンを歩き始める。
新たに得たスキルに関しては、特に不満がなさそうだった。
「黒いシャボン玉に向けて、緑の星を当ててみようかしらね」
キラリが慣れた手つきで鎌を振ると、緑の星がキラリの周囲に出現した。
そのままキラリは黒いシャボン玉に向かって近づいていく。
「キラリさん、あまり黒いシャボン玉に近づくと落ちてしまいますよ?」
「そうらしいわね。でも、妖精の羽があるから」
キラリは妖精の羽を使って、地面から両足を難なく離した。
それから、キラリは自分の意思で、可憐に緑の星を操りはじめる。
「これでどうかしらね」
飛行状態のまま勢いよく通路を突き進んで、緑の星と、黒いシャボン玉が接触していく。
「浄化の潤いを、ここに感じれますように」
飛び交うキラリは願う。
黒いシャボン玉が、白く変わっていった。
「キラリさん、凄いです!」
「みゅー。これが浄化の作用、ですか。ひとつ勉強になったような気がするのですけど」
白く変わったシャボン玉が地面に隠れると、新たな黒いシャボン玉が出てくる。
キラリは、暫く飛行状態を維持しなければならない。
「黒いシャボン玉、ダンジョンで巡回しているのかな」
「みゅー。おそらくは、なのです」
「やっぱり私もお手伝いしたい」
「パルトラさん、それは断るわ。だって、これが楽しいから」
緑の星で浄化する作業は、キラリの独り占めになっていた。
ここにいる誰にも邪魔されずに、エメラルド色の妖精がキラキラと輝き続ける。
「このダンジョンでも綺麗な光景を見れるものなんだな。ところで、あたし達が暇を持て余しそうになっている問題はどうしたものか」
「フィーちゃん、そうだね……」
完全に独占状態なこの通路は、キラリに任せっきりでも問題ないとみている。
なので、早急に次の作業を考えないといけなかった。
「誰か、何か良い案ないかな?」
「ティルはね、この白いシャボン玉、いまの構造だとみなくてもボスにたどり着けそうと思った」
「構造……そうだっ!」
この白いシャボン玉の通路を、冒険者に強制的にみせたいのは事実。
現在のダンジョンの構造を考えると、モノで通路をふさぐという手っ取り早く済ませる方法が取りやすそうだった。
「うーん、どうしよう。このダンジョンの壁がまだ殺風景なのもあるけど、十字路の行き止まりとなる見た目は何が良さげになるのかな?」
神秘の地下道の雰囲気に合いそうな瓦礫の山は、すぐに見つかりそうになかった。
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