キラリが戻ってきた
「…………どうかな?」
私がログを確認すると、ヴァルハリーザとピリコがリスポーンしたという情報が流れてくる。
ひとまず、堕天使の翼をどこかへしまい込みたくなった。
私はゆったりと地面に両足をつけたら、背中から生えている翼を消し去り、フィースペードとティルティの背中をぼんやりと眺めはじめる。
「みゅー。戦闘、お疲れ様でした」
私の元に真っ先に駆け寄ってきたのは、アマノハクだった。
小さくて美しさもある瞳で見つめてくる姿は、まさしく精霊のお姫様のようで……。
「ヴァルハリーザさん達、腕あげたよね……?」
なんか違う。言葉を考え直そうとしながら、もう一度口に出す。
「アマノハクさんって、とてもかわ――」
「観測。ひとつのSSS武器がボスフロアに残された」
私の言葉が、ネフティマによってかき消された。
「みゅー?」
アマノハクは首をかしげる仕草をしてきた。
幸か不幸なのか、私の二回目の言葉はアマノハクに届いてない。
ひとまず、私は頭の中で気持ちを切り替えていく。
ネフティマが注目していたのは、ピリコに渡したはずの白い短剣。
SSS武器、白き幻影の短剣。
この武器の製作者は、アレイ。
フィースペードとティルティは互いに雑談をはじめており、地面に残された短剣を拾い上げる気配なんてまったくなかった。
ここは無難に、私が武器を拾い上げにいく。
「ピリコさん、やっぱり武器を置いて行ったのかな……」
もしかしたら、今のピリコにとって不必要だったから置いていった。
私は、拾い上げた白き幻影の短剣を胸元に当ててぎゅっと握りしめる。
もっとこの武器の扱いをちゃんと理解して、使える者を探したくなる気持ちになった。
「ネフティマちゃん。この武器、私のダンジョンの宝箱に置いても大丈夫かな?」
「観測。未来に異常なし」
「だったら大丈夫だね。それじゃあ、ここでキラリさんを待って」
「ふぅ……その必要はないわ」
ボスフロアに入って来たのは、妖精の羽を使って宙に浮かんでいるキラリだった。
先ほどリスポーンしたのもあってか、体はピンピンしてそうな見た目だった。
「パルトラさんだけでなく運営の使いもいるから、新しい何かをしようとしてるのかと」
「キラリさん、ご名答ですね。私たちの目的は、これです」
私はすかさず、ムグルルコアを見せびらかす。
「コアのアイテム……。パルトラさん、これは?」
「次回イベントの準備らしいです。その件で、このダンジョンの拡張をしてもらって、コアのボスモンスターの設置をしてもらおうかと思いまして」
「それで世界樹のダンジョンにか、良いわよ。楽しそうだから」
「キラリさん、ありがとうございます!」
キラリの承諾を得ることができた私は、静かに息を吞む。
「パルトラが了解を得たか。それならこちらとしても動きやすそうだ」
「ティルもお手伝いするー!」
「みゅー。このアマノハクもお助けします」
手伝いたい意欲を見せた三名によって、キラリはすぐに囲まれた。
「一瞬で賑やかに……ふふっ」
私はくすっと笑ってしまった。
そこに冷ややかな目が横入りして。
「笑顔の観測。珍しいものです」
ネフティマが耳元で囁く。
「ね……ネフティマちゃん、別になんでもないよ……?」
私は恥ずかしくなった気分を誤魔化そうとして、ドロップアイテムの確認をする。
ヴァルハリーザからドロップしたのは、漆黒のウロコ。
ピリコからドロップしたのは、九尾のしっぽ。
どちらもレアアイテムだ。
これらはすぐに使わず、ティルティと作るダンジョンの為に取っておこうと思う。
今回もお読みいただき、ありがとうございます!




