パルトラ、お手伝いをお願いされる
「いまのパルトラさまは、女神のことがわからないって顔してますね」
「うん……」
エルトリディスからの囁きが的確すぎて、私は苦い果実ををかみ砕いてしまったようなしょっぱい顔になっていた。
「そうですね……シクスオの世界に存在している女神ネフティマとは、全くの別物であって」
エルトリディスは言葉を考える。
「屑籠の女神の肉体は現世に実在している、というべきでしょうか」
「現世……地球……」
「まぁ、そうなりますね」
ネフティマは息を吞む。
あくまでも、エルトリディスは女神という肩書をもって振舞っているに過ぎない。
「ところで、ここは何なのかな? ティル、まったくわかんないよ?」
「ここは新たなる魔王城です。ただ外見は今のところハリボテなのでこれから作り込んでいく予定です」
「ハリボテかぁ」
「えっと……エルトリディスちゃん。ここへ来るように私を呼んだのは、魔王城の建設のためですか?」
「パルトラさん、それは違いますね。建設のお手伝いでしたら、リリークランをお呼びするので心配いりませんよ」
「だったら……」
「ちょっと別のお手伝いをしてほしいと思ったからですね。仕込みというべきでしょうか」
「仕込み……?」
私が首を傾げようとしたら、エルトリディスは大きな画面を目の前に広げた。
復活の魔王城!?
シクスオの世界に散らばった魔王の四天王を撃破せよ。
「これは……」
「パルトラさん、こちら未解禁情報となります」
おそらく、運営から用意されたまだ発生していないイベントの紹介画面だった。
「えっと、これを私に手伝ってほしいってことで大丈夫なのかな?」
「まぁ、そうなりますね。時間に差し支えなければ今から少しずつでも……」
エルトリディスは私から視線を逸らして、ティルティのことを気にかけていた。
「ティル。こういうのって、面白そうだから好きだよ」
「ティルティちゃんがそういうのなら……」
私は静かに頷く。
そしたら、エルトリディスはイベントの紹介画面を閉じた。
「ではパルトラさん、お手伝いの内容を伝えますね。まず四天王を召喚する魔法のデータが入り込んでいるコアアイテムをひとつずつ渡しますので、好きなところに設置してください」
「好きなところ……」
「具体的にいうと、四天王が出現する場所の設定ですね。ひとつ設置するごとにここへ戻ってきてください。また別のコアアイテムをお渡ししますので」
「一個ずつこなしていく感じでいくのかな。どうして?」
「新たな魔王城の建設状況をパルトラさんに見てもらいたいのもありますけど、一番は怪しまれないようにするためです」
「怪しまれないようにって、どういう意味ですか?」
「本来は屑籠の女神として、運営側からのイベントを仕込まないといけないのですが……」
「面倒くさいということですか」
「まぁ、そういうことです。少なくとも屑籠の女神がコアの設置場所を把握しておけば、誰からも深く怪しまれることなんてありません」
「エルトリディスちゃんがそういうのなら、オシリスのダンジョンマスターとして手伝います」
「ありがとうございます!」
エルトリディスは丁重にお辞儀をした。
ティルティ承認でイベントのお手伝いを引き受けちゃった以上は、手を抜かずにやるべきだと思った。
ただ、この近辺……少なくとも魔界ダンジョンに仕込むのは面白みに欠けるので駄目だ。
いったん魔界ダンジョンから離れてから、コアの設置場所を考えてみよう。
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