19話
インフルかかりました……
それと、忘れてました
皆さんは健康な日々でしたか?
「あるじ様~、どうかしたんですか~?」
遠くから、俺を呼ぶ声が聞こえる。
声と呼び方からしてパンドラだ。
「十兵衛さん!人の話はしっかり聞いてください」
「はい……」
かれこれ何時間この体勢のままお説教を聴かされただろうか。
この体勢というのは、床の上に正座だ。
正座は慣れているのだが、この体育館は古いため床がボロボロなのだ。
そのため、偶に木が飛び出たりしている。
現在も数多の足に刺さっていて痛い。なんとか、刺さらないようにしたいのだが、少し身動ぎするだけで梓弓が怒るのだ。
梓弓というのは『梓弓の銘だ。
「いや、お迎えが来たみたいなんですよ」
「関係ありません」
「はい……」
どうも、押しに弱いみたいです。
桃前数多十兵衛は押しに弱い。重要です。赤で書いたり、下に線でも引いておいてください。テストにも出ます(嘘)!
「あ、あるじ様!やっと、みつけ、た?」
パンドラは正座している俺を見つけ、その前に立つ梓弓も目に入ったようだ。
「誰ですか?」
「それはこっちの台詞です。あるじ様を正座させるとは、無礼千万!処刑です」
パンドラ裁判により、梓弓に処刑宣告が下された。
後に聞いた話だが、パンドラ裁判には死刑か、処刑か、無罪しかないらしい。
罰の重さを順に並べると
死刑 < 無罪 <<< 処刑
らしい。聞いたが、よくわからなかった。
まず、なぜ無罪よりも死刑が軽い罰なのかが疑問だ。
それを聞いたとき、パンドラの応えは
「内緒です」
だったのだが、その言葉に近くに居た人は何故か寒気がしたらしい。
ちなみに数多は何も感じなかった。
場面は戻り、修羅場
「処刑?ふざけないでください。私は、十兵衛さんを支えていくという大事な役目があるので、死ねません。それに、それはあなたが感情的に勝手に決めたことなので無効です」
「十兵衛さんを支える?あるじ様のことを十兵衛さん呼びですか?はっ、寝言は寝てから言いなさい!」
目の前では、修羅場が起こっていた。
この時に、数多は一つの心理を見た。
「(修羅場を”自然災害”に加えてもいいんではないだろうか?)」
そして、数秒後目の前では光の矢が飛び、闇が蠢き、火花が散る。
爆発が起こり、クレーターが出来、台地が割れる。
矢が闇を祓い、闇が矢を喰らう。
そんな凄惨な状況が目の前で起こっていた。
「はあ、二人とも止めろ」
大きくも無い声で数多が言うと、二人が止まる。
それだけの、凄み、殺気、重みがあったのだ。
「す、すいません、あるじ様」
「十兵衛さん、すいませんでした」
「いや、まあ意見の違いは出てくるだろうから仕方ない……んだけど、この体育館どうしようか?」
体育館は、地面は割れ、ガラスも割れ、内装はボロボロという状況になっていた。
まあ、武姫同士でかなり本気でやったにもかかわらずこれ程で済んだのだからまだマシだったかもしれない。
武姫というのは、持ち主に恩恵を与えるだけでなく武姫自身も強いのだ。
それこそ、並みの武芸者以上の技術を持ち、武器の扱い方も自分自身なのだから上手い。それに加え、経験値も多いのだ。
「本当にすいません」
パンドラは土下座でもしそうな勢いで謝ってくる。それに、若干涙目だ。
少し、殺気などを込めすぎたかもしれない。
「一先ず、鈴梨先生のところに行こう。そこで、相談してみるよ」
「「わかりました」」
了承の声が被った二人は、被らせた相手を睨みながら鈴梨先生を探す数多の後ろを着いていくのだった。
この二人、性格などは似てないがどこか似通った部分もあるのかもしれない。
「(案外すぐに仲良くなるかもな)」
「あるじ様それは、絶対ありえません」
「そうです、十兵衛さん。これと仲良くなんて一生ありえません」
「(そういえば、思考が流れるんだっけか)」
もう、そのことを忘れていた数多は少しやりづらさを感じながら対処方法を考える。
それと同時に、この世に《絶対ありえない》や《一生ありえない》は、ほとんどない。むしろ、こういうのは意外な人たちが仲良くなることがある。などということも同時に考えていた。




