第11話:最終決戦、全銀河の再構築(デバッグ)(前編)[リメイク版]
帝都アルカディアの中核炉から、全銀河に眠る「銀河遺産」の管理権限が正式に佐藤和也へと譲渡された、その瞬間。
全宙域の観測ネットワークが、かつてない異常な空間歪曲アラートを一斉に鳴らし始めた。
『緊急警報:銀河系中心核の超巨大ブラックホール領域より、高濃度の崩壊粒子および次元干渉波を検出! 規模……計測不能です!』
『アーク・プロトタイプ』のブリッジ。アリスの叫び声とともに、メインスクリーンへ銀河中心領域の広域マップが投影された。
そこにあったのは、何千億もの星々を呑み込もうとするかのように肥大化した、漆黒の巨大空間歪曲ゾーン——【ヴォイド統合核心】だった。
「な……何あれ!? ヴォイドの総本山が、銀河の中心から出現したよ! 帝国反乱派の残党たちが仕込んでいた『最終増殖プログラム』が、全自動で起動したんだ!!」
「いよいよ、親玉のお出ましってわけか」
船長席の和也は、作業服の袖を捲り上げ、不敵な笑みを浮かべた。
『マスター。あの【マザー・コア】は、全銀河の物質とエネルギーを崩壊粒子へと変換し、宇宙そのものを「死の領域」へ塗り替える最終兵器です。……あれを阻止しなければ、地球も含めたすべての星々が消滅します』
軍服姿のエリスがホログラムで可憐な表情を引き締め、報告する。
ブリッジには、新しく仲間となった第一皇女セレナ・アルカディアも同乗していた。セレナは気品ある軍装の胸元を固く握りしめ、和也に向かって真剣な眼差しを向けた。
「佐藤様……! 帝都親衛隊および、各地で解放された工廠惑星の自動艦隊、合計五万隻の全戦力を展開いたしました! 私も、この決戦に命を捧げる所存です!」
「礼を言います、セレナ姫」
和也はゆっくりと立ち上がり、ブリッジに集う仲間たち——エリス、アリス、そしてセレナを見渡した。
「だが、誰も命を捨てる必要はありません。俺たちがやるのは特攻でも戦争でもない……『全銀河の巨大なシステムエラーのデバッグ(修正)』です」
「デバッグ……!」
和也は自らの手の中の端末——エリスの量子アクセスプロトコルを起動した。
「アリスは五万隻の連合艦隊の通信ノードを統括し、敵の防衛砲火を分散させてくれ。セレナ姫は帝都の中核炉から無制限のエネルギーを『アーク・プロトタイプ』へ直結供給してほしい。エリスは俺と思考同期し、敵のコアプログラムの解析を行う!」
『了解、マスター!!』
「任せて! ボクの量子ハッキングで、敵の防衛線を全部穴だらけにしてあげる!」
「はい! 帝都の全エネルギーを、佐藤様の船へとお送りします!」
三人の頼もしい返答が重なり合う。
和也はコンソールへ手をかざし、力強く言い放った。
「全艦隊、突撃! ターゲット……全銀河を脅かす最悪のバグ【マザー・コア】! 俺たちの手で、この銀河を本来の美しい姿へ書き換えてやる!!」
ドォォォォォォン……ッ!!
常温核融合リアクターと帝都コアの莫大なパワーが融合し、全五万隻の黄金と銀の艦隊が一斉に空間跳躍を敢行。
漆黒の暗黒が渦巻く銀河中心核へと向けて、全人類と銀河の未来を賭けた「最終デバッグ戦」の火蓋が切って落とされた。




