狙われる領土
アレクサンダーは自分の領土の寄り親である公爵家から3度目の招待を受けた。
一度目は公爵家から大量の山葡萄のジャムの注文の要請依頼だった。
彼の娘がビビアンの店に行き葡萄ジャムが気に入ったようなので、評判の葡萄ジャムを身内にも配りたいので是非依頼を受けてほしいとの話だった。
その際、公爵様はお茶を持ってきた、自分の娘を私に紹介した。
ビビアンの店で出している山葡萄のジャムは季節限定品なので、大量受注は断るように指示されている。
彼女の店の商品は伯爵領の街の活性化が目的で多くの人が街に買い物に来てくれるためのものだと聞いていた私は、山葡萄のジャムは人気商品なので、他領からも直接受注を受けることがあるが、今期は大量には作れないとはっきり断った。
公爵は大変残念だと言い、私のジャム工場を一度見学したいと言ってきた。
人付き合いの悪い私は面倒なことになったと思ったが、当日はラルフ夫婦に案内の方は頼めばいいと思っていた。
ラルフ夫妻は公爵様の案内は恐れ多くて出来ないと辞退したのでしぶしぶ私は公爵と彼の娘をジャム工場に案内した。
2度目の公爵の招待で私は公爵の娘との婚約を打診された。
彼は王宮の知り合いに手をまわし私のことを調べたらしい。
私が誰とも婚約してないことを知ると、自分の娘との婚約を強くすすめてきた。
王宮に届けを出した私とビビアンの婚約届は白紙になってしまっていたので、記録が消されていたのだ。
私ははっきり、自分には好きな人がいるので、婚約は受け入れられない、と断った。
そして今回3回目の招待状が私に届いた。
気が重く行きたくなかったが、この間アカデミーの送迎の馬車を出してくれたお礼もしなくてはいけないので、ラルフに残っている葡萄ジャム、ラズベリージャム、リンゴジャムを山葡萄の籠に詰めてもらい重い足取りでラルフの馭者で馬車で公爵家に行った。
屋敷の玄関でこの間のお礼だけ言って馬車に戻ろうとしたが、公爵様は馭者を務めたラルフも一緒に屋敷の中に歓待してくれ、公爵家の家中で私の薬が認証されたお祝いをしてくれた。
私もラルフも酷く居心地が悪かった。
私は早くこの屋敷から去りたかったが、公爵夫婦はまた私に婚約話をしてきた。
私には彼らに対抗できる後ろ盾も友人もなく、しいて言えば頼れるのはビビアンの公爵家に人達だけだったので、この政略結婚を断るには大変困難なことであった。
公爵家に婿に行った兄にも少し前に相談したが、公爵家と繋がりができると反対に喜ばれてしまった。
私はビビアンと2人で築いてきた伯爵家を守りたかったが、もうそのビビアンは私の手の届かないところに行ってしまった。
今まで兄の抱えた負債にも助け船を出さなかった寄り親の公爵家が最近は私の伯爵家の領土をあれこれ干渉してきて融資の提案もしてくるのは、ビビアンが助けてくれた伯爵領が、負債もなくなり少しづつ領土がが良くなり伯爵領に利益が出きているからだろう。
私は公爵の娘にはまるで興味がない。
ビビアン以外他の女性には興味がまるでないのだ。
これからもビビアン以外は愛せないであろう。
そして領土のための政略結婚に対してはかなりの抵抗がある。
本来、社交性もないので、領土経営などには不向きな私はこれ以上強引に婚姻を勧められたら領土を投げ出していっそ平民になってしまいたかった。
平民になれば、彼等とて諦めるだろう。
幸い私にはこれからアカデミーで薬を作る指導の仕事もあるし、薬の認証で定期的に収入も入る。
ラルフ夫妻と3人で畑を耕し、薬草を作って静かにどこかの領土で暮らしたいくのも悪くないと思う。
ただ、この伯爵領のビビアンの店やロイドの屋敷、山葡萄の林のことを考えると、何としても、この伯爵領を守らなくてはいけないとも思う。
最近、何かにつけ伯爵領を訪れる公爵様は私に縁談話を押し付け、ビビアンと私が作った伯爵領を乗っ取ろうとしているように思った、
ビビアンとの約束の認証された薬を持ち、もう今となっては顔が出し辛くなったエランドール公爵家に行き、伯爵領にある山葡萄の林と彼女の店、ロイドの家のことを一度相談したいと思った。




