悲しい再会1
冬の終わりの頃、今日はアンドレ様のロイヤルアカデミーの試験日だ。
私は彼の付き添いで王室アカデミーにきていた。
まるで、親が子供の受験に付き合う気分だ。
私は前日、公爵家に帰り、ドレスアップしてローズに髪を整えてもらい、気合を入れてこのアカデミーに来た。
ロメオに馭者を頼み、途中アンドレ様のところにより、このアカデミーの試験を見守るためにここに来た。
そしてこれがアンドレ様との最後の共同作業になる。
彼には十分自分の実力を発揮してほしい。
しばらく彼の試験の部屋の前でおとなしく待っていたが、落ち着かず、面接もあるので少し時間がかかりそうなのでアレクも働いていた王立アカデミーをゆっくり歩いてみたかった。
あちこち歩きまわり疲れてしまったので、しばらく庭に出て休憩しようと思った。
庭の中央にある掲示板に職員によりなにやら告知が張り出されたようだ。
私はそこに行きアレクの薬の認証の告知がされたことを知った。
とうとう彼が伯爵領の仕事の合間に頑張っていた彼の野草研究の努力が認められた。
私は彼の名前のある掲示板をしばらく見つめていたが、そこに何やら騒がしい一行が現れた。
その中でアレクがいた。 私は近くの木のそばに隠れた。
でも、せめておめでとうが言いたくて、彼の前まで思わず行ってしまった。
そこには懐かしい誇らしい顔のアレクがいた。
私は彼におめでとうの言葉を言いたかったが、言葉が出なかった。
そんな私の前にアレクの隣に令嬢が歩み寄った、彼女は無邪気にアレクの腕をとり今回のことをとても喜んでいた。
私がアレクの前に出たのはほんの一瞬のことであったが、とても長い時間のように感じた。
私はそのまま踵を返し,彼から逃げるようにアカデミーの研究舎に戻った。
アレクは私がいきなり彼の前に現われたのでとても驚いたような顔をしていた。
私はアレクのことはとっくに諦めていたのに、なんだか見てはいけないものを見てしまったようなショックを受けていた、
走りながら吐き気がして目の前が真っ暗になった。
私の目には涙がたまり、彼の受験している部屋の前に戻った。
彼はちょうど部屋から出てきて、すべて上手く言ったと、私に告げた。
私はアンドレ様を見て倒れこみ彼に抱えられ涙を流した。
アンドレ様は私が泣いている意味が分からず、試験が終わったのが嬉しくて泣いているのかと思い、困ったように私の頭を撫ぜた。
その私の姿を後を追いかけてきたアレクサンダーがこっそり見ていたことをその時の私は知らなかった。
私は泣きながら馬車に乗り込んで、公爵家に戻り、アンドレ様と一緒にお父様に今回の試験の報告をした。
アンドレ様は今回の試験には自信があると言ったので、お父様も兄様もホッとした様子であった。
お父様はアンドレ様に引き続き応援を約束してくれ、何かあれば、公爵家を頼るようにと言ってくれた。
アンドレ様はこれで念願のアカデミーで仕事ができる。
私は肩の荷がおりたが、そのせいで一番大切なものをなくしてしまった。
その日はアンドレ様もまじえた食事会が屋敷の皆によって用意されていたが、私は食事をする気分になれず、自分の部屋に引きこもった。
屋敷の皆には申し訳なかったが、私は今までの疲れから体調不良ということにしてもらった。
アンドレ様も心配して部屋にきてくれたが私は、彼に何も言うことが出来なかった。




