ビビアンの夢
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アンドレ様と最初約束したことは、アンドレ様の希望の王立アカデミーに入るために彼の体を治し、2人で協力してアンドレ様に悪さをする直樹の霊と戦おうだったが、最近その約束がだんだん崩れてきている。
アンドレ様は勉強して今でもアカデミーを目指しているが、最近私はアンドレ様の私を見る目が怖くなってきている。
いつも穏やかだった彼の目は最後に私が見た直樹の目にだんだん似てきていると感じることがある。
いつのまにかアンドレ様の体は直樹に乗っ取られてしまっているのかもしれないと思うことがある。
私はだんだん彼の視線から逃げるように自分が委縮していくのがわかる。
彼は無口になり最近私を監視しているように見える。
街で買い物するときも私の肩をがっちり掴み私が拒否しても体を触ってくるようになった。
彼が学問書を開き部屋で机に向かう午後に私は風呂に一人で入るがなんだか彼に見られているような気がする。
私の感覚は自分が少しおかしくなっているのか、と思いローズに助けを求め、週に2度ローズを呼び、彼女に風呂に入れてもらうよう頼んでいる。
ローズは私が風呂に入っている間、屋敷での楽しい話をしてくれるが、ときどき私を見て泣いている。
彼女には私の絶望がわかるのだろう。
いつも逃げたくても逃げられない絶望の中にいる私を彼女はいつも優しく癒してくれる。
アンドレ様に彼がとりついてしまったなら、私は彼ともう一度会い、アンドレ様の体を開放してもらわないといけない。
今のアンドレ様は何とか、学問に打ち込み、直樹の暴走を抑えてくれているのかもしれないが、彼の体が完全に直樹に乗っ取られてしまったら、私の周りの人達に被害がでるかもしれない。
大切な人達を守るため私はもう逃げるわけにはいかない。
私は直樹ともう一度地獄の門の前に立たなくてはいけなくなるのかもしれない。
ローズの話だと最近アレク様には寄り親の公爵領の令嬢との婚約話が出ているらしい。
伯爵領はアレクの頑張りでどんどん良くなっているようで、そんな真面目な彼の仕事が公爵様の目にとまったのだろう。
彼はその話を何とか断っているようだが、令嬢の方はかなり彼を気に入っているようだ。
彼は私と離れて笑わなくなり、いつも暗い顔で伯爵領の仕事と薬草の研究に打ち込んでいるらしい。
ローズはアレク様のもとに早く戻ってくれと私に言うけど、私がこんな状態なので、アレクの元に戻るのは、もう無理なので彼には私のことを忘れて幸せになってほしい、と思った。
毎日、夕食の支度が終わり、アンドレ様と一緒に食事をして、すぐに自分の部屋に逃げ込むが、彼が私の部屋の前にいる気配を感じ、私はベッドで身を縮ませ、朝が来るのを待つのが最近の日課になってきた。
せめてアカデミーの入社試験まではと、次の日は何事もないように彼の世話をしている。
今日も彼は私の部屋の前まで来て、ドアをガチャガチャまわしている。
夜になると彼は直樹のようになり、私の部屋の前で低い声で私の名を呼んでいる。
私はドアを開け、そんな彼を受け入れ、直樹と会わなくてはいけないのかもしれない。
でも私はまだ、直樹が怖い。 私はベッドの中で震えながら、アレクの名を呼んだ。
そしてその日、私は浅い夢をみた。
気の強そうな私にそっくりの女が私の夢の中に現われた。「
意気地がない女、あんな奴、嫌なら鞭でたたいてやればいいのよ」 そう言って彼女は私を睨みつけた。「私は霊になっちゃったけど、退屈だから私の体を返してくれない」彼女はそう言った。
彼女は地獄の門の前まで行き良い男が来ないか長い間待っていたが、希望の男がいなかったようなので、この世界に戻ってきたようだ。
そんな地獄の門を待ち合わせの場所みたいに使う人は初めて見た。
「あなたのアレクにも私が行って慰めてあげるから私に体を返して」と彼女は私にニタニタ笑いながら話しかけてきた。
あなたみたいな悪役令嬢を大切な人のそばにはおけない、と私が言うと、「だったら私がアンドレとあなたのかわりに寝てあげる、モジャモジャ頭より私、彼の顔がタイプなんだよね」ととんでもないことを言う。
アンドレ様は来年すぐにアカデミーでの試験が待っているから、あなたを相手にしてる時間はない。
彼の採用が決まってから、この体を返してあげても良いと私は言った。
アンドレ様も彼女相手では可哀そうな気がするが、私の心はアンドレ様の最近の行動にだいぶ弱くなってしまい、彼女の体を返せと言う願いを退けることは出来ないような気がした。
そんな不思議な夢をみてから、時々私の周りにアンドレ様を観察する悪役令嬢の霊の気配が感じられるようになった。




