アンドレの中の悪魔
ビビアンが私の家に来てから、私には私によく似た男の姿は見えない。
最初、彼は私の夢に出てくるだけで、彼は無言で私を見てた。
ビビアンとの婚約放棄で公爵家から追い出され、生活のため過酷な肉体労働をしてる時、私は彼女を恨んでいた。
しかし貴族学園で教員につき、忙しい毎日を過ごす間に彼女のことはほとんど忘れていた。
貴族学園の教員は平民になった私には高嶺の花の存在だったがなぜだか面接の通知が来て、すんなり採用され教員をしていたが、新学年の生徒付き添いで学園に来ていた彼女に会ってしまった。
学園に来た彼女は連れの男と学園をあちこち見て楽しそうであった。
私にはいつも不機嫌であんな笑顔は一度もみたことがない。
趣味の良いドレスを着て連れている男の子にもにこやかであった。
そこには悪役令嬢の影は微塵もなかった。
彼女には何とも言えない感情が芽生えた。
私を地獄に落としておいて、自分だけ幸せになることは許せない、私は彼女を見てそう思った。
私は彼女と一緒に来ていた生徒のロイドに近づいた。
そして公爵家に再び行くチャンスを作った。
その公爵家で彼女は素直に過去のことを謝ってくれた。
この王立アカデミーへの教員の仕事を世話してくれたのも公爵家だと聞き、私の彼女への恨みは薄らいだ。
また公爵家は最終的には王立アカデミーの採用の資格も約束してくれた。
私は王立アカデミーへの希望者の多い4年生のクラスを受け持つことになり、ここでもう一度生徒と一緒に勉強してほしいとのことだった。
これはビビアンが提案してくれたことなので、私の希望の就職が出来ることでビビアンを許した。
そして生徒に授業すると同時に私も学問についていなかった時期を埋めようと、猛勉強を始めた。
そんな時に幻のように私に似た男は現れた。
最初は夜、夢の中に現われ無言で私を憐れむようにみていたが、そのうち昼も表れ、怒りをあらわにし、キョーコとブツブツとなにか呪文のようなものを唱えるようになった。
私は彼の低いその呪文を聞くと頭の中が痛くなり。勉強が手につかなくなり、学園に行くことも困難になった。
男は赤い血を吐き真っ赤な目をして、私を睨み、「好きな女に振られ、人生を終わらせ、地獄の底から彼女を追いかけてきた」と自分の身の上話のようなことを私に話した。
正直、私には女性へのそれほどの執念はわからなったし、人をそこまで愛したこともなかったので男の話に共感することはなかった。
頭痛は学問書を開くと断続的に襲ってきた、
そのうち、私はだんだんと食事がとれなくなり、日に日に体が衰弱して受験勉強が出来なくなってきた。私は私の前に現われる男に何が希望かと聞くと、ビビアンをそばに置けと言ってきた。
私は絶え絶えの息で侯爵家に行き、ビビアンにそのことを話したら、彼女は顔色を変え、私の家に来てくれ私の世話をしてくれた。
彼女が側に来てくれたおかげで頭痛は無くなり、勉強もはかどり、体は楽になったが、日に日に彼女への執着心が強くなってきている。
もし彼女が私を捨てて恋人のもとに走ったら、私は彼女を見送ることができるのだろうか?
そんな私の心のすきをつき、あの私に似た哀れな悪魔のような男は私の中にすでに入ってしまったのではないか、と最近時々思うことがある。
そして私の中の悪魔はビビアンを恋人から奪い取れと赤い口で呟いている。
最近、私はどこまでこの呪いににた感情を抑えることができるのか、難しくなっている。




