黄昏トワイライトゾーン
今日は公爵邸から定期便が来て、マリオが食料などを運んでくれた。
マリオもロメオも結婚してとても幸せそうに見える。
私はアレクの様子を聞きたかったが、それを聞いても私にはもうどうすることもできないので、彼のことは聞くことはなかったが、伯爵領のためにアレクを助けてあげてくれとお願いした。
マリオは私に何か言いたかったようだが、その言葉を飲み込んで、悲しそうな顔をした。
アンドレ様は最近は起きていることが多く、私の料理をよく食べてくれるようになったが、少しづつ注文が多くなり、だいぶ面倒な男のようになってしまった。
彼は徐々に王宮アカデミーに受験する準備をするよう勉強を始めている。
今のところ頭痛もないようだし、直樹も彼に悪さをしていないようだ。
私は彼が勉強中は邪魔にならないよう自分の部屋に戻っていて、時々様子をみるように、おやつを作りお茶を持って行く。
彼は酷く面倒くさそうにそれを食べありがとうの、あの字もない。
気難しくて面倒で、彼が元気だったら、蹴り倒してあげたい気分になる時がある。
はやめに夕食の支度をして、彼に食事させ、長い一日が終わる前の夕日に染まりやがて暗くなるこの時間が好きだ。
今日も、夕日が沈み一瞬黄金色に輝き、やがてだんだんと薄暗くなっていく空をぼんやりと自分の部屋の窓ぎわに座りみていた。
アレクサンダーはビビアンの手紙を毎日机から取り出し読んでいる.
箇条書きに近い、感情のない手紙で何度読んでも、よく理解できなかった。
合同結婚式の時、気持ちを込めて握った手を彼女は確かに握り返してくれた。
まだその手の感触が自分の右手に残っている。
次に日から何度公爵家に行っても彼女には会えなかった。
ビビアンの兄にも面会して話を聞いたが、答えは曖昧なものだった。
フェルナンドは興奮して2人で姉様をアンドレの家から取り戻そうと、息まいていた。
そんな時この手紙がビビアンから私に届いた。
ビビアンは自分の意思で自らアンドレの家に介護に行ったことが書かれてあった。
無理に連れ戻せば彼女を傷つけ、悲しませることになるかもしれない。
こんな手紙を残し自分になんの説明もなく自分の目の前からいなくなるような人ではないことも知っている。
彼女を忘れることは私にはできない.
もう一度彼女の顔が見たい、そんな思いでフェルナンドから教えられた住所の家に馬車を走らせた。
彼女の住む家に着いた時、ちょうど夕日が沈みかけ空は茜色に染まっていた。
遠くから彼女が窓のすぐ近くで沈む夕日をみているのが私にはわかった。
私はマリアンをいつまでも見ていたかったが、彼女の後ろに男が立ち彼女の肩にチェックの肩掛けをかけるのを見てしまった。
いつもビビアンが帰る時、僕が彼女の肩に掛けてあげたあの肩掛けであった。
私は心臓に何かを突きつけられたような衝撃を受け、やがて、窓にはカーテンが引かれた。
短い手紙を残し僕と離れていったビビアン、それでも彼女を僕は信じてる、愛してる。
黄昏が終わる頃、アレクサンダーの心は暗い闇の中に落ちていくのを感じた。




