夏の日の出来事
初夏に日差しがすこし和らいだ日、私は嬉しい報告を3つきいた。
一つ目はアレクの薬が完成したこと、アレクは薬が出来てすぐ、わが公爵家に来て私に出来立ての薬を見せてくれた。
この薬を王国アカデミーに持ち込み、認定を受ければ、薬は王国アカデミーを通し本格的に売ることができる。
薬はアカデミーで作ることになるが、彼が薬の製造、監修に関わることになる。
認定には治験などで日にちが、かかわるようだが認定を受けたら真っ先に私や公爵家に薬を提供すると約束してくれた。
アレクには報奨金として、薬の売り上げの3割ほどしか入らないが、王国アカデミーに彼にはその薬を作ったと言う名誉と名を残すことができる。
私は彼の報告が何より嬉しくて、屋敷の皆に報告した。
お父様も兄様も大変喜んでいた。
まだこの公爵領にはその病気は発症していないが、ちらほら他領で出始めているらしい。
感染力が高い病原菌なのでインフルエンザのようなものなのかもしれない。
高熱が出て体力がない女性、子供、老人などは死んでしまう確率が高い。
早く彼の薬が認証され、使用されることを願い、彼の薬の完成を祝い今日は我が家で急きょパーティーを開くことになった。
もう一つ嬉しいことはマリオの家が完成したことだ。
元メイド長の屋敷を見た2人はとても気に入り、マリオはメイド長が住んでいた屋敷を改装してそちらに住むようだ。
メイド長の住んでいた屋敷は古いが、土台がしっかりしていて、とても重厚な家だ。
マリオは婚約者さんを屋敷に連れて行き、2人であれこれ住みやすいように相談して屋敷の中を改築したようだ。
私も今度、ロイド夫妻を連れて彼らの家を見学に行く予定だ。
ロメオもマリオの屋敷の隣に新しい家を現在新築している。
こちらは秋に完成する予定だが、マリオは婚約者さんと秋に結婚を予定しているので、ロメオの家が完成したら、ロメオとマリオの合同結婚式を侯爵家で挙げることを提案した。
秋になれば、結婚式に美味しいワインを提供できるし、きっと素敵な結婚式になるだろう。
そして、3つ目の嬉しいことはアルフレッド様がローズが最近とても仲良くなったことだ。
兄様がローズをアルフレッド様に紹介して2人はとても気が合ったようだ。
もともと私との婚約は彼が望んだものでもないし、彼にはローズのような穏やかで、辛抱強い人が似合っている。
ローズはますます最近きれいになっきて、私は時々年下のくせに彼女をからかっている。
「お嬢様って、恋愛に対して大胆なんですね」とローズに言われるが、私が大胆と言うより、ローズが奥手なんです。
婚約放棄で傷ついた彼をぐいぐいリードして彼を結婚まで導いてあげてください。
まだまだ彼の侯爵家は復興途中だが、兄様の話では、負債が無くなっただけでもだいぶ楽になり、恋人ができ、最近の彼は生き生き仕事をしているらしい。
そんな楽しい事ばかりの私だったが、だんだん夏休みが近づいてくると、やはり憂鬱な気分になってきた。
逃げずに真摯に彼に私が過去彼にやらかしたことを詫びると決めたが、やはり私は直樹によく似た彼が怖いのだ。
夏休みを楽しみにしているロイドには申し訳ないが私は夏休みがこないことを、この時願っていた。




