ある日私は、、、
冬の寒さは緩み今日は天気が良いので気分が良い。
あれから、アレクとは2か月ほどぎこちない感じになってしまったが、いつまでも過ぎてしまった過去を悔やんでも仕方ない。
屋敷の皆にも心配をかけ、そんなの私らしくない。
アレクはあれから今年の初めに起きたことは何も言わないし、今まで通り私に接してくれている。
私だけが彼から離れようとしているようにみえてしまう。
もしアレクが私の過去の悪行を知り婚約放棄を望めば、その時はその時できっぱり別れよう。
それまでは、私の出来ることを彼にしてあげよう。
何しろ、彼は異世界に来て初めて好きになった男性だからね。
そんなふうに思ったら、気分は少し晴れて久しぶりに厨房でアレクや屋敷の皆が好きなミートパイを大量に焼いてみた。
アンナさんも腕がますます上がり、美味しいパンを作ってくれている。
私のミートパイを屋敷の皆はとても喜んでくれた。
とくにロイドはミートパイを食べて機嫌が良い。 ロイドは今年貴族学校に行くことになった。
ロイドは平民だし父親の店を継ぐことにすれば、勉強はいらないし、アニーさんの商会で16歳で見習いとして働いて商業の勉強をすることも可能だがアレクの話を聞き、自分にも何か可能性があれば、貴族学校に入り勉強したいと言った。
アレクには以前からロイドの今年貴族学校に行く手続きをお願いしている。
今日アレクに会ったら、ロイドを一度貴族学校に連れて行ってもらい、どんなところか見学させてほしい。
私は勉強が嫌いだったようで貴族学校には行かなかったようだ。
アレクの好きなミートパイとアンナさんが焼いたパンと料理長の作ったコロッケを持ち、いつもよりたくさんの食べ物を持ちロメオとマリオを連れてアレクの屋敷に行った。
今日は男性用のマフラーの新作が出来たので、彼やラルフさんにも見てもらいたかった。
伯爵邸に庭でいつものようにアレクとラルフさんは畑で作業していた。
冬なので野菜の種類は少ないが、アレクは冬に強い野菜の開発に勤めていた。
よく見ると野草園のとなりに見慣れない野菜達がならんでいた。
霜で萎れてしまったものもあるが、がんばって根付いているものもある。
私がアレクに庭でいろいろ質問したが、アレクは得意そうま顔で野菜の説明をしてくれた、3月になり暖かな日差しが降り注げば、すぐ食べられる物もでてくる。
私がどんな野菜ができるか楽しみだね、と彼に言うとにっこり笑ってくれた。
ラルフさんも私たちの久しぶりの早い時間の訪問に喜んでくれ、皆で昔みたいに賑やかに居間に集まった。
今日は私の焼いたミートパイがあると言ったら、アレクはさっそく食べたいというので、ミモザさんがお茶を用意してくれ、ミートパイを切り分け皆で食べた。
アレクはすごい速さでミートパイを食べていたが、ラルフさんにそんな子供のように欲張らなくてもパイはたくさんある、とからかわれた。
私もたくさん作ったから、良く味わって食べてほしいと言うと屋敷の皆が笑っていた。
アレクも私も笑って、何もかも2か月前に戻ったようだった。
ミモザさんが作った野菜の煮物も出され、私も食べたが美味しかった。
ロメオはここにお酒があったらと午前中なのに不謹慎なことを言ったが、私もワインがあれば、飲みたい気分だった。
それから私たちはたくさんの話をした。
アレクは山ぶどうに続き甘いリンゴジャムも好評で最近は直接他の領から引き合いが来るようになったと言った。
確かに私の店でもブドウジャムの後だしたリンゴジャムもすぐ売り切れてしまう人気で予約注文の引き合いも来ている。
ここの特産にするならジャムを大量に作り売り出すことはこの領のためにもなる。
でも、食料品を売るには安全第一に考えないといけない。
ただアレクの研究室で少人数で作るのは数に限度があるし、遠くの領にジャムを出すなら清潔な建物、瓶の消毒、密閉度の高い蓋などの作る設備に必要となる。
葡萄酒の代金、ブドウジャム、リンゴジャム、ぶどうの蔓の籠を売った代金だけでは、新しい作業場、使用人の給料を出すにはまだまだ足らない、ので私が資金を提供することを提案したが、アレクはもうすこし伯爵領にお金が貯まったらということで、その話は保留になってしまった。
伯爵領はアレクが農業に力をいれている。
そのために彼は領地をまわり、農業指導をしたり、新種の苗を配ってたりして飢えない領地を目指している。
私はたくさんの人達を伯爵領の中心の街に集めて盛り上げていこうと思う。
私の店は開けば連日繁盛して町の人気店になっているが、まだまだこの街に人を呼ぶにはたらない。
そのためには、私の洋品店を大きくしてブラウス、スカート、男性用シャツなど既製服の店も春までには作らないといけない。
私はこの領のこれからのことをたくさんアレクと話し合った。
ラルフ夫妻もにこやかに私達の話を聞いていた。
長いティータイムが終わると私は新しいデザインの男性用マフラーを見せ、気に入ったマフラーがあれば皆に2枚目のマフラーをプレゼントした。
やはり、男性もそれぞれ好み違うようだ。
ラルフは少し明るい派手なデザインを選び妻にプレゼントしていた。
正方形の婦人用マフラーは定評があり、万年在庫不足ではあるが、長方形の男女兼用のマフラーもよいかもしれない。
お洒落な人は服に合わせいろいろなマフラーを揃えたい人もいるだろし、冬になると暗めの服が多くなるので明るい色のマフラーを差色にするのも悪くない。
少しデザインを増やして正解だった。
その後ラルフ夫妻とロメオとマリオは別の部屋に引き上げていった。
2人きりになるとアレクは私を研究室に誘ってくれた。
研究室にはリンゴジャムの瓶がたくさん並んでいたが、そのとなりのコーナーに薬草がびっしり並んでいる棚があり台の上には何種類かの薬の粉が置いてあった。
この国には春になると鯨飲不明の病があるらしい。
その病を治す薬を春までに完成させたいと言った。
そして完成したら、その薬を真っ先に私に渡してくれると言った。
私はその言葉でアレクの気持ちが何も言わなくても分かり嬉しく思った。
遅め昼食を皆と一緒に食べて私は店に寄るために馬車に乗った。
アレクに別れ際、ロイドの貴族学校のことをお願いしたら、彼は近日中に私の屋敷に来てくれると約束してくれた。




