2人の秘密の婚約式
ビビアンが伯爵領へ行くと入口の扉が閉まっていた。
ロメオが裏にある小さな窓から部屋に忍び込み玄関の扉を開けてくれた。
私はさっそく厨房に入り彼の好きなスープを作った。
彼はたぶん出かけているのだろうと思っていた。
しばらくしてマリオが書斎に行き部屋のドアが開かないと言ってきた。
彼は書斎にいるのか?と私はロメオとマリオと書斎に走った。
ドアをノックしたが中から返事がない。
ロメオが戸を壊して入りましようといってくれたが、ドアを壊すと後が大変だ。
私は大声でアレクに話しかけた。
昼食の用意が出来れてるよ、アレクの好きなミートパイも作ってきたよと、、、
やがてアレクの小さな声がして、部屋の扉が開いた。
アレクは私を見て、「マリアンは残酷な人だ」と私に言った。
私はやはり彼と話し合う必要がありそうだ。
ロメオとマリオにアレクに話があるので、席を外すようお願いした。
2人が出て行った後私はアレクを見ていた。
「僕を捨てるつもりか」か、と彼は私に子犬のような悲しい顔で聞いてきた。
やはり手紙ではアレクに伝わらなかったようだ。
私は成り行きでこんなことになったけど、アレクとはいままでどおりだよ、と彼に言った。
ロメオもマリオもアレクのこと心配してるから、昼食を食べてからゆっくり説明するね、といい彼を昼食に誘った。
アレクはミートパイを一つとスープを飲んだだけで、いつものような元気がない。
ロメオとマリオは気を利かせブドウの林にブドウをとりにいってくると馬車で屋敷を後にした。
私は彼にお城であったことを説明した。
「マリアンは王子と婚約するのか」と聞いてきたので、偽の婚約式が王宮で近じかあるけど、単に形式だけだよ、と彼に説明した。
そして彼の手をとった。
アレクは私の手をふりほどき、新しい婚約者がいるのに、僕を誘惑するのか」と涙声でさけんだ。
ダメだ、いくら彼に説明しても彼には通じない、私の心が信じられないようだ。
2人の間に長い沈黙が流れた。
やがてロメオとマリオがぶどうの房をたくさん持って帰ってきた。
私は2人にこのブドウを屋敷に持って帰り、料理長にジャム作りをするようたのんでほしいと彼らに行った。
わたしは今日屋敷に戻るのはやめてアレクがわかってくれるまで、アレクのそばにいようと思った。
アレクには王子には心に決めた恋人がいること、私はアレクをいまでも婚約者だとおもっていることを彼に話した。
なんだか私から彼に愛を告白しているようで、おかしなことになってしまったが、私の話を聞いているアレクの顔は真剣だった。
昼間のスープを暖め直し、残ったパンを2人で食べた。
私は王宮で婚約式をする前に2人で本当の婚約式をしようと、彼に言った。
私達は王宮に婚約書は提出して、彼が私の家に来て家族で一緒に食事したことはあるが、正式な婚約式はまだしてない。
私は前世結婚を前提とした婚約者がいて、彼と2人で夜をすごしたこともある。
彼に私のことを信じてもらうため、私は覚悟を決めて、彼をベッドに誘った。
彼を誘惑する最悪な悪役令嬢になってしまったが、彼の悲しそうな顔思い出し、心を決めた。
私は下着姿でベッドに入り彼もベッドに入ったが、アレクが婚約を私に申し込んでくれた時と同じだね、と私は彼に微笑んだ。
ベッドの中で何度も2人で寝返りをうつだけで、私は彼のぬくもりを感じながら朝を迎えた。
彼は朝元気に「おはよう」と言ってくれた。
私は嬉しくてモジャモジャ頭をさらにもじゃもじゃにした。
早朝、2人でお茶を飲んでいると、しばらくしてロメオが私を迎えに来た。
兄から私を早く迎えに行くよう、頼まれたらしい。
まあ、朝帰りをしたら、兄には怒られるんだろうな、(マリア様、この哀れな悪役令嬢をお助けください。)
そろそろラルフ夫妻もここに来るので私は明日も午後ここに来るとアレクに約束した。
昨夜のことは私とアレクの秘密の婚約式だよ、と帰りぎわアレクに囁いた。
アレクは顔をまっかにして頷いた。 私ってやっぱり悪役令嬢なんだわ、と思った。
馬車の中で兄様にお泊りのことを何と言い訳しようと考えたが、ロメオが気を利かせて「アレク様が急な病になってお嬢様が看病に残ったと言っておきました」と話してくれた。
ロメオはやはり私の優秀な護衛さんだ、私は彼に感謝した。




