ローズ親子へのメイド達の嫌がらせ
我が屋敷には私専属のメイドのローズの他、4人のメイドがいる。
メイド長はかなりの高齢で父は彼女をいつ辞めさせるか思案中であるが、肝心なメイド長は一向に辞める気配はない。
私はローズ親子の家がほぼ完成に近いので一度公爵家の庭にある家を見に行ってもらうため、2人を探していた。
厨房に行ってみたが、朝食の準備もすでに済んでいて、厨房の隣の部屋で休憩しているのかとも思ったがどこにもいない。
屋敷の中を探し回っているうちにとても不愉快な物を目撃してしまった。
何とメイド長がローズ親子に屋敷の掃除の命令をしていたのだ。
他のメイド達も次から次に2人に自分達の仕事を押し付けている。
ローズとその母は黙ってメイド長の話を聞いている。
私はこの間、彼女達が居間や玄関の掃除をしているのを見て、私の部屋以外は他のメイドがやるので、掃除する必要はないと言っていた。
ローズの母はなにか仕事がしたいと言っていたが、そうでもなかったようだ。
親子はアンナさんが来るまで厨房でコックさんの手伝いをしてくれているし、その後の手伝いもしてくれている。
私は自分で髪結いやドレスを着ることができるので、パーティや大きな催しものが、なければ、ローズの手伝いはいらない。
父と兄に謹慎を申し付けられているので、社交界に行くこともない。
ローズには2人の子供たちの世話もお願いしているので、昼食後私の部屋に来るようにと言っていた。
まさか午前中、他のメイドの仕事を押し付けられていたなんて思いもしなかった。
私は彼女達の前に現われ、メイド達にすぐ自分の仕事の持ち場に戻るように言い、メイド長には昼食が終わったら、私の部屋に来るよう、言った。
ローズは他のメイドが私の世話を嫌がる時、自らすすんで私のメイドをやってくれた。
私のたいせつな友人だ。
私は屋敷で働く人たちの食事など公平にあつかってきたつもりだったし、皆仲良く自分達の持ち場をやってくれていると思ってた。
ローズから話を聞くと彼女母をこの屋敷に引き取った時からメイド長は自分達の仕事をローズにも押し付けるようになった、と話してくれた。
彼女への特別優遇が気に入らなかったようだ。
躁だとしても、自分の仕事を押し付けることはあってはならない。
私は朝食の時その話を父様と庵様に話した。
お父様は「メイド長は長年我が館にいて尽くしてきてくれた人だが、もう高齢なのでいつ辞めてもらおうかと息子にも相談していたが、なかなか言い出しづらく、今回のことで良い口実が出来た」と言った。
そう言えばと兄は「メイド長が、最近修理と称し家具や装飾品が一部消えているが、戻ってきた気配がないと執事が言っていた」と言った。
これは一度メイド長を調べる必要があるよね。
メイド長は今私達公爵館の近くの土地の借家に住んでいる。
これは父が手配してくれた家で庭もかなり広くなかなか借家としては少し古いが立派な家だ。
兄様は早速メイド長の家に行き、部屋を調べると言ってくれた。
お兄さま、フットワーク軽いんだよねぇ、尊敬すると私が言うと、照れたように微笑んだ。
悪人顔だか、あんがい可愛い、わ。
彼女の部屋を調べると、我が屋敷から消えた何点かの物が彼女の家にあった。
「これは深刻なことになった、たんに仕事を辞めてもらうと言う話ではない」
兄からの報告に父も顔を曇らせた。
昼食後彼女は緊張したように私の部屋を訪れた。
そこには、父と兄もいたので、彼女の緊張も頂点に達していた。
「お嬢様、私になにか御用でしょうか?」彼女は私に尋ねた。
私はローズ親子のことを話すと深々と頭を下げ、以後自分達の仕事を押し付けることをしない」と言ったが、父の話を聞き、震えだした。
父は退職を彼女に促し、盗品のことは長年の労働に免じて許すが、今住んでいる家への退出、退職金の減額を彼女に伝えた。
その後、残りの3人も父の書斎に呼び、給料の減額を言い渡した。
彼女たちは現場を私が見ていたので、言い訳はしなかった。
給料の減額といっても、我が屋敷は大変他より給金が良いので、他の屋敷並みになっただけなのだけれど、新しいメイド長がきてくれるまで、メイド長の仕事は3人で分担してお願いすることになった。
皆で仲良くやっている屋敷にも、見えないところそうゆう軋轢があるのだと、私は改めて思い、我が家の護衛さん達の立場も十分考える必要があると思った。
まあ、屋敷の護衛さん達のことは。護衛の一人に兄の片腕と言われる警備主任の友人もいるし、護衛さん達は彼の管理下にいるので父や兄様に任せておけば良いのかも、と思った。




