私はいったい誰なのでしょうか?
私は大学生で国際学部を専攻していて、商社に就職が決まった彼と結婚を前提にお付き合いしていた。
彼のご両親がやっている食堂に良く出入りして、大学が夏季休暇にはいると、食堂でお小遣いを少し貰い手伝いをしていた。 彼のやっている食堂は大変料理が美味しく値段が安いと評判の店でお客さんも多かったが、私に声をかけてくるお客さんもいた。 彼等の誘いには完全無視で、対応していた。
私は中学の頃から、好きになる男の子にはすぐ振り向いてもらえ付き合うが、すぐ目移りしてしまっていた。 まあ、結局恋に恋をしているだけで、現実に付き合うとあまり面白くなかったのかもしれない。
そんなことを何度か繰り返していたが、大学に入るとちょっと大人の恋をしたが、お付き合いしているうちに彼のスタジオカメラマンと言う仕事がどうしても結婚しても幸せになれないと、思ったので彼の求婚を断ってしまいちょっぴり苦い思いをしてしまった。 そんな時に現われたのが今の彼だ。
私は彼のことを心の底から好きになってしまった。 だから、もう誰に誘われても、私の心は揺らがない。
高校生の時付き合った彼が、今でも時々連絡してきたが、私は彼との電話を最近遮断した。
高校の時、1年ほど付き合ったが、次第に私に対する執着心が怖くなり、卒業とともに彼とは別れた。
私は、高校を出て、交際相手に縛られることなく、自由に新しい世界に飛び込みたかった。
彼には私の心変わりで、申し訳ないことをしたと思ったが、もう心は彼にはなかった。
顔も頭も良く、大学も一流と言われる大学に通い女性にもモテるタイプだと思うので、私に事は忘れて新しい彼女を作りやり直してほしいと思っていた。
そんな別れてしまった昔の男の影が最近、私が彼とコーヒの店でお茶を飲んでいる時、食堂で店を手伝っている時、フッと浮かぶことがある。
夏季休暇が終わり近づいたころ、その影が姿を現した。 私は、彼の待っている食堂に急いだが、あと少しのところで、不意に背中に熱い物が刺さり意識を失い、彼や彼の両親によって病院に運ばれた。
薄れる意識の中で、私の美しい母、父、愛しい彼、彼の両親の顔を見て、私は静かに自分の生涯を終えたのだった。
気が付くと、悪党顔の家族のいる、大きな屋敷の悪役令嬢のようになっていた。
私は頭が混乱していた、社交界、婚約解消は、マフィアや闇の組織のことではないような気がした。
まあ、マフィアが大きなパーティを開いている映画はみたことがあるけどね、私はいったい誰なんだろう。
部屋がノックされ、恐々先ほど約束したメイドは入ってきた。
私は部屋のテーブルに備え付けになってお茶セットで彼女と私のお茶を入れ彼女にすすめた。
彼女は震えながらお茶をのんだ。 そんな彼女に私は尋ねた、私の名は? 私はいったいどこの誰?
メイドはその言葉に驚いたようだが、私はもう一度同じ言葉を繰り返した。 やがて小さな声で「お嬢様の名はビビアン、侯爵家のお嬢様でございます」
私が侯爵家の令嬢、あの悪役顔のお父様が侯爵、私は思わず笑ってしまった。




