いきなりの婚約宣言
朝、館に戻ると、皆が心配して私に駆け寄ってくれた。
執事が、「旦那様とお兄様が書斎でお待ちです」と声をかけてきた。
私はアレクと一緒に父と兄の待つ書斎に行った。
兄は私を見るといきなり「伯爵領で事件がありそれを助けたと聞いたが結婚前の娘が朝帰りとは、何事だ?」と怒鳴った。
どうやらロメオは上手く話を父と兄に話してくれたらしい。
父は新しい婚約者を見つけてあげようと思ったが、こんな事件に関わろうとするなら、誰にも頼めないとため息をついた。
アレクは父と兄に伯爵領での出来事を一部を隠して話し、部屋の捜索に彼女が協力してくれ、それで朝までかかってしまったと父と兄に言った。
マリオも口裏をあわせてくれ父と兄は何とか納得してくれたようだ。
やはり本当のことを言えば、父や兄は怒りに燃えて子爵領に乗り込み男を殺しかねない。
「今回のことで彼女のことを大変勇気ある人だと好ましく思い、どうか彼女と婚約させてください」と父と兄に言った。
私はいきなりのことで、かなりあせり、自分が勝手に事件にかかわったので彼には責任はないし、婚約するつもりはないと言ったが、父と兄は「伯爵で我が公爵家とは格が違うが、婚約してくれるのはありがたい、これで肩の荷が少し軽くなる」となぜか喜んでいる。
そんな、勝手に婚約を決めないでよ。
まあ、ロイドが16歳になる年まで、結婚するつもりはないので、偽装婚約ということで、アレクにお願いするかな、と都合の良いことを考えてしまった。
これで父や兄の怒りを回避できそうだしね。
ホッとしたらお腹がすいてきたが、さっそくローズが私達に朝食を用意してくれたようだ。
私は食事しながら、アレクに4年間偽装婚約を頼んだ。
彼は偽装でも婚約できるなら、と了承してくれた。
私もいきなり婚約者が出来てびっくりだけど、父と兄に今度面倒事を起こしたら修道院行にすると言われていたので、修道院に行くよりましなのかもしれない。
彼は食事をして、昨日の事件の後始末に子爵領に戻っていった。
麻薬のような危ない薬の出どころ、保管場所など取り調べに同行するらしい。
私はアンナさんが焼いたたくさんのパンを彼に持たせ、ロメオが馭者を務める馬車まで彼を見送った。
今回は彼に借りを作ってしまった。
明日、スープの材料をたくさん持って子爵邸午前中に行くからと、アレクに言った。
もし朝から仕事で出るようなら、裏の玄関は開けておいて、と彼に言った。
彼にところには、連絡係の人以外あまり客もこないようだが、雑用係と執事は必要だと思った。 仮とは言っても婚約者としてなんとかしないと、だめなのかな?
私は思ってもいなかった展開に急に眩暈をおぼえた。
まあ、仮とは言え婚約者も私の社交界での悪名が高いので、彼以外なってくれそうにないし、なるようにしかならないか? はぁ。




