丘の上の家
ロイドとマリールウの家に着いた。 外にはごろつきのような守衛が2人いたが、私の護衛が一発で倒した。 私の華麗なる鞭は出番がなかった。
いよいよ屋敷に皆で乗り込んだ。 叔父夫婦はあわてていたが、アレクが伯爵領の領主だというと、
にこやかに応対した。 「子供達は何処だ?」と聞くと、小さな女の子を出してきた。
ロイドは今、宿舎に入れていると言った。 よくもぬけぬけと嘘がつけるものだ。
私は彼等を睨みつけた。 そして、護衛2人に彼らをとらえるよう命令した。
アレクもこの叔父の態度に怒っていた。 そして彼らを街の警備隊に引き渡すと言う。
ここの子供達を売り、彼等の財産である商会を食いつぶすこのシロアリのような叔父夫婦にきっちり重労働してもらい、この家の損失はきっちり払ってもらうからね。
私は彼等を脅かした。 子供は可哀そうだけど、孤児院行かな?
叔母は彼を抱きしめて、泣いていたが、子供を他国に売り渡す行為は許せない。
私は思わず鞭を取り出し、床をピシャと叩いた。
孤児院の件はアレクにまかせることにした。 アレクは私を見て「素敵だぁ」と呟いた。
そおぉ? 変わった奴、鞭でたたいてやろうかしら? 素敵かしらねぇ。
私はアレクが治めている伯爵領が大変気になった。
帰りの馬車で彼に話を聞くと、彼は伯爵家の次男でもともと、兄が継ぐことになっていたが、兄は公爵家の令嬢と結婚したので、次男の彼に領主の座が回ってきた。
彼は学者畑の人間であり、薬草研究とかをしているたらしい。
そんな彼がいきなり領主になったのだから、なんだか同情してしまった。
伯爵邸に戻り、彼に領土経営の帳面を見せてもらったが、あまりこの領土の運営は上手くいってない。
これは、彼の兄も公爵の婿に逃げるはずだ。
私はこれからの子供達のことも心配なので、しばらく伯爵邸に通うつもりだ。
使用人もいないようだし、一人で屋敷に住むのは大変なことだ。
この頭モジャモジャなつぶらな目をした、子犬のような彼をほっとけない。
せめて伯爵当主としても目鼻がつくまでは、どうせ暇だし、子供達を含めて、面倒見ようと思った。
アレクは叔父夫婦に尋問したうえで、街の警備隊に引き渡した。
奴隷密売の件は我が国では罪が重い。 彼等は、炭鉱で一生働くことになるだろう。
2人で働いて、今まで、商会を食いつぶしたお金を返してもらわないとね。
彼等の子供はとりあえず、街の孤児院に預けることになり、さっそく明日連れていくことになっている。
今日は3人で街の牢で過ごす最後の日になりそうだ。
私は牢番にこれで彼らに何か美味しい料理をと、お金をたくさん渡しといた。
それを見てアレクはすごく優しい人だと褒めてくれた。
はぁ、あなたに褒められてもねぇ、嬉しくないわぁ。
帰りの馬車でなにか夕食になるものを買い求め、それを置いて伯爵領を後にした。
今日はいろいろくたびれたわ。 ロイドには叔父夫婦のことを報告しないとね。
でもあの屋敷で2人で暮らすのは、ロイドにはまだ無理だ。 せめて彼が16歳になるまでは、誰か世話をする人が必要になる。 私は考えれば考えるほど、ため息しか出なかった。
父と兄に夕食の時相談してみるしかないね。




