アンドレの恋
アンドレは毎日アカデミーの研究室に通い、好きな石の研究をして充実した生活をしていた。
しばらくはビビアンは自分のところに戻ってくると期待して待っていたが、結局あの日が彼女との最後の別れになった。
彼女はその後アレクサンダーと婚約した、自分はアレクサンダーに彼女を返してあげることが出来て良かったと思っている。
アレクサンダーは私と同じ学者肌で貴族学園にいた時は学年は下であったが、優秀な成績で注目されてい人付き合いは悪く、顔は整っているが地味で風采はあがらない感じだった。
後にアカデミーに入り、兄の伯爵家を引き継ぎ、伯爵になってアカデミーを退職したと聞いたが、疫病の薬を発見したとのことで、再びこのアカデミーに戻ってきた。
アレクサンダーの研究室とは別棟で、たまに庭ですれ違う位で顔を合わせることはないが、貴族学園にいたときより、幸せそうで、相変わらず黒髪は巻き毛でモジャモジャだがはるかに服の趣味も良くなっている。
彼の話はこの研究室でも時々聞く、彼はビビアンと近じか結婚してこの王宮アカデミーに自分の研究室を持ち主任になるようだ。
一時アカデミーの研究室でも、伯爵家の悪役令嬢と婚約したと騒がれていたが、アレクサンダーはきっぱり彼女はそんな人間ではないと、否定したそうだ。
私も彼と一緒に、そう言いたかったが、話がこんがらがりそうなのでやめておいた。
なぜビビアンが彼をあんなに愛しているのかは謎ではあるが、彼女は彼のたぐいまれなる才能に惚れたのかというと、そうでもないようだ。
私の介護を引き受けたのも、愛するアレクサンダーに悪霊が悪さしたり取り付くのを恐れてのことだった。
あの時彼女を引き留めず、約束通り愛する2人を守れて良かったと思った。
ただ、彼女の作る美味しいご飯が食べられなくなり、少し残念だった。
そんなある日、アカデミーの近くに美味しいと評判の食堂が出来たと聞き、その食堂に昼食を食べに行った。
そこで私はビビアンによく似た美しいスミレ色の目をした娘に出会った。
彼女は食堂の娘で私はその食堂に昼は通うようになった。
そのうち私が食堂に行くと、彼女はカウンターに入り、私のために一品作って食事のつけてくれるようになった。
彼女はビビアンに似て料理上手だった。
彼女はビビアンほどではないが美しかったのでアカデミーの研究員にも人気があったが、どうやら私のことが気に入ったみたいだ。
そのうち私は昼食だけでなくアカデミーの仕事が終わると食堂に行くようになり、彼女と彼女の両親とも家族ぐるみの付き合いをするようになった。
私は決して彼女にビビアンの代わりをさせるつもりはない、私は平民の素直で明るい彼女を愛したのだ。
私は近々彼女に結婚を申し込もうと思う。
そのうち何かあれば公爵家を頼ってくれと言ってくれた公爵家に良い報告ができそうだ、とアンドレは思った。




