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困った私の道標~海の神さまと、私のぬりかべ~  作者: サトウアラレ
二章

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8/25

3 凪視点

ご飯を食べて次の日、お父さんは朝から、ゆうおじさんの家に泊まりに行った。


昼までゴロゴロしようかと思ったら、朝ごはんを食べたら、お母さんから、「買い物行くけどついて来て」と言われた。


お母さんと向かったのは車で三十分弱。福津市の大型ショッピングセンターだ。


「お母さん、ちょっと本屋も行きたいんよね。凪、服とかは観たい?タンクトップとか夏用の買おうかと思っとんやけど」


「いいよ、適当にぶらぶら一緒に見るから。新作のフラペチーノかりんご飴、買おうかな」


「凪は、本当、リンゴ好きやね。じゃあ、リンゴ飴買って、フードコートでお昼でいいやろか?」


「うん」


そうして、お母さんの買い物にぶらぶらと付き合い、適当に話をしていたが、休み明けの会社の事を考えていた。そして、気付いたら、リンゴ飴を買ってフードコートに座っていた。


「ちょっと、うどん、買ってくるけんね。凪も食べる?」


「いや、リンゴだけでいい。もし足りんかったらドーナッツ食べる」


「そうね。じゃあ、ちょっと待っとって」


「うん」


休日のフードコートは人が多くなる。子供連れが多く、次に若い学生のカップルが多い。カットしてあるリンゴ飴をカップから取り出した。真っ赤なリンゴに緑が映える。宇治抹茶チョコリンゴ飴。一つ摘まんでしゃくっと食べていると、お母さんがトレーにうどんを乗せて戻ってきた。


「トマ玉カレーうどんにした。美味しそうやろー?」


私の前に座って「少し食べる?」と聞きながらお母さんは食べだした。休みの日にゴロゴロしている事も、会社を休むかもと今朝話したこともお母さんは何も聞いてこなかった。


「お母さん、彼氏と別れた」


一瞬、お母さんのうどんを食べる手が止まった。そして、私の方を見ると、頷いた。


「そう。聞いてもいい感じなん?」


「うん、迷惑かけるかもしれんから。彼氏、会社の先輩って前話したやん?その人、会社で後輩と浮気してた。で、それが私と会社にバレて、今、どうなるか分からない感じ。私はもう、彼とは無理だから別れたけど、会社でその後輩が騒いだんよ」


そこまで話すと、お母さんは「うわあ」と言って、口元を手で隠した。


「凪、あんた、ドラマみたいやねえ。あらら。だけ昨日、暗かったんやね…会社はちゃんとしてくれるん?」


「んー、どうなるか。ただ、浮気相手の後輩が、私のモラハラとかそんなん言いようらしくて。私は勿論してないと思う。まあ、相手の受け取り次第って言われたら分からんけど。でも、前から問題ある後輩だから、ちゃんと調べてくれたら問題ないんやけど、その子、コネ採用やけ、ちゃんと調べてくれるか分からんの」


「なるほどね。凪の好きにしなさい」


「好きにしていい?仕事、休んだりしたら迷惑かけると思う」


「馬鹿、迷惑をね、掛けてしまう。とか、謝れる人間はね、大した面倒掛けてこないっちゃ。あとね、面倒な事なら、もう、真面目に戦わんで逃げちゃいなさいよ。おかしな人相手に戦うのもバカらしいけね」


「逃げる?」


「そ。面倒事に巻き込まれたらね。本当大変やろ?凪がどんな状態かは私は分からんけど、でも、逃げれる時は全力で逃げり。で、ちゃんと自分と向き合ってくれる人とは、全力で話し合い。負けたくない、絶対譲れんっち思った時は、戦い。その時は一緒に戦っちゃる」


普段お母さんは、変な事を言ったり、ドジで面白い人だがお父さんよりも怖い人だ。お父さんは怖い振りをするだけであまり怖くないが、お母さんを怒らせたら大変な事になる。


そのお母さんが、静かに私の為にもう怒ってくれていた。


「で、その凪の、クソ彼氏?詫びはないんやろ?さっさと、そんなクソ男は捨てて、凪に見合ったいい男を見つけり。凪の見る目が悪かったっち言うんやないんよ?誰しも皆、間違いはある。あ、そのクソ彼氏の浮気は間違いじゃないけね?それはもう、バカってことやけ。お母さんが言いようのは、失敗の事ね。まあ、そのクソ彼氏も後輩の女の毒に侵されてクソ男になったかもしれんけど、でも、二十も超えて働きだした良い大人やろ?自分で頭を下げて責任取れんような男なら、バカやね」


「お、おかあさん。ここ、フードコート…」


「あ?誰も聞いとらんよ。もうどっちにしてもクソ男はトイレ行きやね。凪、クソは拾わんでいいけね。さっさと流してしまいいよ。勢いよく流して、綺麗に手を洗って気持ちもスッキリしたらいいんよ」


「うん、わかったけど、お母さん、ご飯中」


「あ、そうや、私、カレーうどん食べよんやが。自爆や。最悪やねえ」


お母さんはそう言って笑ったが、気にしている様子は全くなく、「カレーうどん、うまうま。トマト最高」と言って完食していた。


その後、ショッピングセンターを出てから「夜、お父さんおらんけ、二人でドラマパーティしようか。凪、なん飲む?」と、家に帰る途中にお母さんと食品のディスカウントストアに寄り、冷凍のバジルとモッツァレラチーズのイタリアのパイと、フォンダンショコラと、お寿司と冷凍ポテトとお酒を買って帰った。


「凪、プリンとアイスもある。あと、冷凍パスタと冷凍キンパも。早くお風呂入ってからさ、もう、今日はダラダラしよう。私、お風呂洗うけ、凪、食べたい冷凍のヤツ。お皿とフォークとか出して、チンの準備だけしとって。あ、コップ、冷やしとって!」


「はーい。あ、ジュース買うの忘れた」


「あ、本当や。ジンジャーエールで日本酒割るのが飲みたかった」


「いや、普通にジュースを私は飲みたかった」


お母さんは「しまったなー。日本酒は沖ノ島(おきのしま)にしようかな。いや、神郡宗像(かみのさとむなかた)にしようかな。フルーティってお店の人が言ってたし。凪も少しは呑めるやろ?」と言いながらお酒を選び終わると、お風呂掃除をしにいった。


お母さんに言って、良かった。お母さん、口が悪いけどでも本当に優しい。お父さんが帰ってきたら、また、ちゃんと話そう。


冷蔵庫に入れてる寿司とキンパを先に食べて。そして、あとは夜、ピザやポテトとかでもいいな。と思ってソファー前のテーブルの上にお皿を出して、コップや箸を準備しているとスマホが震えた。









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