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困った私の道標~海の神さまと、私のぬりかべ~  作者: サトウアラレ
三章

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3 凪視点

高宮祭場から本殿の方に戻り、そして一の鳥居を出ると、休憩が出来るカフェがあった。


「凪、ちょっと休憩していこう。おきながたらしひめのみことについても調べよう」


「うん。喉かわいた。あ、ここは私が奢る。車も出して貰って、ごめんね」


「はいはーい、ご馳走になりますよ、運転は好きやけ、気にせんでいいけね」


二人でカフェに入り、結海ちゃんは姫餅(きもち)という餅とアイスコーヒーを、私はそのまんま生姜エールというのを注文した。


「ちょっと調べる、えっと、おきながたらしひめのみこと?」


みたらしが中に入っているという餅を頬張りながら結海ちゃんはスマホを操作し出した。


「うん、もう、あやふやだけど。不思議な声が聞こえて、で、紋吉は元気になったと思うんだけど、その、おきながたらしひめのみこと様?にも力を分けて貰いなさいって」


注文したコーヒーと生姜のエールを飲みながら、私は耳元で囁かれた名前を必死に思い出す。


「分かった。息長(おきなが)足比売命(たらしひめのみこと)様は神功皇后(じんぐうこうごう)の事だ」


神功皇后(じんぐうこうごう)?」


「ああ、えーっと、この人に会いに行けってことはお墓?(みささぎ)は、奈良県奈良市山陵町にある狹城(さきの)盾列池(たたなみのいけの)上陵(えのみささぎ)ってあるけど」


「え?奈良?結海ちゃん、遠くない?神様の距離の感覚ならすぐにいけるのかもなんやか」


「うーん。そう書いてあるけど…。ちょっと待って、神功皇后は信仰されとんやね。なになに、武家社会の神である八幡神の母にあたる神であるって、てことは、八幡宮とか?えーっと…大分県の宇佐神宮、大阪府大阪市の住吉大社にも祀られている…。あ、凪!福岡県福津市の宮地嶽神社(みやじだけじんじゃ)っちあるやん!」


「え?福津?宮地嶽?ここから近いよね?」


餅を食べ、コーヒーを飲みながら探していた結海ちゃんはコーヒーを置くと、宮地嶽神社を調べた。


「あった。そうだ。宮地嶽神社の御祭神は息長(おきなが)足比売命(たらしひめのみこと)、別名:神功皇后[じんぐうこうごう] っちある。勝村大神(かつむらのおおかみ)勝頼大神(かつよりのおおかみ)宮地嶽(みやじだけ)三柱大神(みはしらおおかみ)っち」


「宮地嶽神社は光の道とアイドルで有名って知ってたけど。海へと続く道で有名な所よね?海岸の側にも鳥居があるんだ…」


私は結海ちゃんのスマホを見ると頷いた。


「うん、今、滅茶苦茶人気みたいやね。でも、宗像大社もやけど、宮地嶽も人気の神社みたいやね。調べると、御本殿の他に奥に八番社まであるって。宗像大社の三姫様は海の道、交通安全、国を守るという神様っち。で、宮地嶽神社は商売繁盛が有名らしいけど、息長(おきなが)足比売命(たらしひめのみこと)、神功皇后は海を渡る前に宮地嶽で祈願したけ。海に縁があるみたいやね。宮地嶽の勝村・勝頼大神は海人族(阿曇族)ということで、海の守り手でもあるんやない?光の道も、有名なのは海からの光を真っすぐに取り込んでいるんやし?だから、海の姫様がここに行けっち言ったんやない?」


「じゃあ、次はこの子を宮地嶽神社に連れていけばいいんかな?」


「凪、多分そうだ」


「うん、多分。結海ちゃん、でも多分あってると思う」


私は頷くと生姜エールをちゅーっと吸った。普通のジンジャーエールよりもスッキリとして、辛い。私の頭はスッキリとした。


「ここから車で十五分からニ十分かな。じゃあ、凪、行こうか」


「うん」


コーヒーと餅を食べ終わると、私達は車に戻り宮地嶽神社へと出発した。時間はもうすぐお昼。


「結海ちゃん、お腹はすいてない?」


「餅、食べたし、もう少し大丈夫だけど?宮地嶽着いたら何か食べる?」


「ううん、私も少し減ってるだけ。後で大丈夫」


「ま、凪に奢られるけ、カレーかうどんか、ラーメンか」


そんな話をしていると、スマホが震えた。確認するとメールだった。メール?と思って確認してみると、知らないメールアドレスからだったので、なんとなく予想はしていたけど、何度も震えているので開いてみたら、案の定、大地と上原だった。


『凪、お前、会社に何か言ったやろ?変な事いうなっていったよな?俺の立場が悪くなるような事するなよ?俺ら、どうせ終わりなんだからさ。黙ってお前、異動してくんない?希望、早くだせよ』


『なんかさ、周りの目がおかしいんだけど?お前のせいだろ?』


『課長が急に俺達に、改めて話、聴きたいとか言ってきたんだけど?お前の異動で話し、終わったんじゃないん?どういうことなん?』


『先輩、もういい加減にして下さい。嫌がらせですか?性格悪いの出てますけど』


『親に言いつけますからね?さっさと辞めてくれません?』


『安藤本部長、うちの親と仲良いんですよ?私の事も心配してくれてるんで。先輩のせいって言っておきましたから』


『あの、専務が来るって本当ですか?どういうこと?』


続けざまのメールに目を通すと、一応それを保存した。


「どうした?」


「うん。元カレと、後輩から、苦情のメールが来てた。知らないメールアドレスだったから、新しく作ったんだろうね」


「保存は?」


「した」


「返信は?」


「してない」


「うん、それでいいと思う。私のアドレスにも送ってくれる?」


「分かった」


「凪。早く動いた方がいいと思う。で、相手が焦ってるって事は会社の方がちゃんと動いてくれている可能性は高いっちこと。凪の同僚に連絡取って、今、どんな状態か確認したらいいっち思う。私、明日から仕事だけど、何かあったらすぐに連絡して」


ポケットの中の紋が震えた気がした。私の知らない所で、私に関する事がどんどん動いているのだろうか?車内は音楽だけが聞こえて、私も結海君も黙っていた。同僚達にも連絡をしておかないと。


そんな事を考えていると、宮地嶽神社にはあっという間に着いた。













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