第二章 ~ これは救済なのです ~ (9)
切れてます?
斬れてます?
切れてます?
放課後、現場に三人でコンビニへ向かうことにした。
明と優太は好奇心からかもしれないけれど、僕としては、確認をしたかったのである。
どれだけ影響が出ているのかを。
「マジで切れてんな。すげぇ」
優太の感嘆の声が洩れた。 実際に現場に来て、切れた幹を目の当たりにして。
街路樹は午前中に整理されていたらしく、切られた上部はすでに撤去されていた。
画像は朝に撮られたらしい。
ウサギが暴れたのは夜であり、店の明かりがあっても暗かったので、気づかなかったけれど、かなり綺麗に切られていた。
それだけ、ウサギの腕がいいということなのか。
「……意味わかんねぇよ」
領地での出来事が出現したことに困惑して、呟いていた。
「ーーだな。何かの腹いせだったら、弱くないか、これ?」
明が顎を触りながら同調する。もちろん、こちらの心境は知られていないままで。
「驚いたな。こんなことになっているなんて」
残された幹を眺めていると、後方から優太の感心した声が聞こえてくる。
優太は僕らとは反対側を眺めていた。振り向くと、優太はコンビニの壁を眺めていた。
「確かに来てみたら、なんかこっちの方がすごく見えてしまうな」
優太に並んでコンビニの壁を見た。
コンビニの壁には、歩道に割り込んで赤いコーンが置かれて、テープで囲んで整理されていた。
歩道の一部を立ち入り禁止にするようにして。
「なんだ、これ? ペイント?」
壁には赤い色で何かが描かれていた。それは数字の0のように描かれていた。
ただ、上下の部分は途切れていて、外側は棘が出ているように尖っていた。
「なんだろうな、0にも11にも見えるけど」
「ペイントっていうか、これじゃぁ“アート”だな、まるで」
「アート。確かにそう言われるとそうだな」
明の指摘は言い当てていた。鮮明な赤と形からして綺麗なアート作品に見えてしまう。
どこかで感心して魅入ってしまっていると、そのアートの下には、別の小さな形を見つけてしまう。
それは“?”の点の部分がないような形になっていた。
「こんなことして、何がしたいんだろうな」
「まぁ、目立ちたいんだろ」
最初の印象は大きく、感心していたのだけれど、しばらく眺めていると、冷静さが皮肉としてこぼれていた。
「質が悪いな」
「ーーだな」
冷めた声で呟くと、明も頷いた。
ただ、捉え方は明とは違っていた。
昨日のことがどうしても頭から離れてくれず、もし、人としての犯人がいるのならば、あの光景を模しているのが腹立たしいのである。
アートの下にある絵は、どうしても“サイン”にしか見えないので。
まさか、ウサギが残したのか……。
赤い、サイン……。




