↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンクウサギの言うことなんか聞けるかっ  作者: ひろゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/60

 第二章  ~  これは救済なのです  ~  (6)

 クレーマー。

   クレーマー。

  ふむ、クレーマー。

           6



 迷いはまだある。

 ウサギの言い分にはどこか矛盾を感じてしまう。だからこそ、気持ち悪さが残っていた。

「さぁ、では待ちに待った標的はこちらですっ」

 両手に掲げて現れたのは、大きめの写真。今回はフレームに入れられ、丁寧さがあった。

「今回は初心に戻り、標的の選択からしようではないですか。まずは一人目、池脇正孝」

「あれ? こいつは……」

 つい、眉をひそめる。

「おっ? 少年、この罪人をご存知か?」

「うん。こいつは知っている」

 写真に移るのは一人の男。

 二十代半ばと見える、小太りの姿で、短髪の髪は少し茶色に染められ、目尻が吊り上がっている。

 あたかも犯罪者の顔に見えてしまう。

「こいつ、クレーマーだろ」

 実は、こいつを何度か目撃したことがあった。

 場所はコンビニ。

 学校帰り、雑誌を立ち読みしようと寄ったとき、この男はレジの店員に向かい、大声で怒鳴っていた状況に何度も遭遇していた。

 お菓子を買おうと、レジに並ぶのだけれど、レジを占領して動こうともせずに居座られ、商品を返して帰ったことも一度や二度ではない。

 なかには、男を注意する勇敢な人もいたけれど、すぐにけんか腰で敵意を剥き出しにする危うい人物であった。

 こいつは店員に叫んでいるのは理不尽なことばかりで、ただの暴言でしかなかった。

 しかも、こいつはコンビニによく居座っていたため、店を敬遠している者も少なくない。

 さらに言えば、以前、優太がバイトを諦めた店舗もこのコンビニであった。優太が嫌がったのも、この男が原因である。

「そう。少年の言う通りである。この男を救う必要があるかは難しいことである。店が被る損害をわかっているのか、と高々と問いたくなる」

 こいつに関しては、ウサギの言い分に逆らう気はない。

 男に対する嫌悪感に唇を噛んでいると、ウサギは手をポンッと叩いた。

「では、次です。次に現れますのはこの人物、高梨ーー」

「ーーこいつでいいんじゃないか」

 ウサギが新たな写真を出現させ、耳を楽しそうに揺らしていると、静かに呟いた。

 ウサギの片耳が傾く。

「ん? 今、なんと? 少年?」

「だから、消す奴はこのクレーマーでいいんじゃないのか?」

 池脇正孝を迷わず選んでしまう。

 嫌悪感は敵意に近い。だから、今回だけは罪悪感が強まらなかった。

 不思議な感覚に頭を抱えていると、急に静かになるウサギが気になってしまう。

 視線を移してみると、ウサギはテーブルの上で土下座をしており、頭を天板にくっつけていた。

「……何、やっているんだ、お前」

「いやはや、まさかこれほど早く決断してくれるとは思っていなかったので。やっと私の仕事の重要性を理解してくださった。ありがとうございます」

「別にそんなことはない。ただ、あの男が嫌いなだけだよ」

「いやいや。それでも前進でありますぞ、これは」

 ウサギは声を弾ませ、クラッカーを鳴らす次第であった。

「では次ですな。さ、では武器を選ぼうではないですか。どうします? 少年は大鎌が好きそうですな。やはり、これになさいますか、ん? ん?」

「それは好きにしてくれればいい」

 そこまでは判断したくなかった。

 ウサギは「うん、うん」と頷き、これまでみたいに怒ることはなかった。実行を認めただけで満足しているのだろう。

 これでいいんだ、と納得するしかない。

 心が落ち着かないままテレビを眺めた。まだニュースのままであったけれど、プロ野球の試合結果になっていた。

 放っておくと、また違う犠牲が出てしまう。それならば、被害者を出さない選択をするべき……。

 それだけである。

 おぉ、やる気になりましたか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。