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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
2.ギヴィス独立都市編
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3.碧星の杖

 今朝早く目が覚めたカヨは、ずっと気分が上がっている。

 今日は杖とローブを受け取る日だからだ。材料から機能性、形、デザイン全てをこだわった、カヨのためだけの杖とローブ。

 そのために早くセイカを起こしてしまい、お小言をくらったのは、忘れることにした。

 起きてから2時間ほど経ち、セイカも二度寝から起き、朝食を摂ることにした。

 外に出るとすでに辺りからは、かーんかーんと金属を打ちつける音が響いている。


「すごい、もう職人さんたちは働いているんだね」

「ほとんどの人が、貴女が起きるよりも前に始めていると思うわよ」


 多くの鍛冶師は朝早くから始め、夕方ごろに終わる。おそらくヘストスも今ごろは、カヨの杖の最終調整をしているだろう。


「姉御! 姉御じゃねえか」


 後ろから声を掛けられた。振り返ると男たちが数人、昨日夕食を共にした彼らだ。


「あら貴方たち、鍛冶師だったのね」


 昨夜は軽装でわからなかったが、今は革の防護服を着て、工具類を持っている。


「ああ、そうだぜ。姉御らはどこに行くんだ?」

「ヘストスのところよ。カヨの杖を作ってもらっているの」

「なんだ、姉御らもなのか。俺らも師匠のとこへ行くんだ。一緒に行っていいか」

「ええ、もちろんよ」


 それから少し歩き、ヘストスの工房に着いた。


「師匠ー! 来たぜ!」

「ガキがぞろぞろとうるせえな」


 ヘストスがそう言いながら奥から出てきた。扉を開けたとき、金槌の音が響いていたから、何か作っていたのだろう。


「お前ら一緒に来たのか。ちょうどいい、待ってろ」


 奥にまた戻り、すぐに戻ってきた。手には碧星(あおほし)がついた象牙色の杖を持っている。


「それって!」

「お前の杖だ」


 期待で瞳を輝かせているカヨに杖を渡した。


「すごいすごい!」

「重さや握りやすさはどうだ? 今調整する」


 両手で持って上下させたり、片手で持って動かす。片手で持っても重くなく、手にしっとりと吸い付くような握り心地。

 装飾で重心も取れていて、とても使いやすそうだ。


「とってもいいです!」


 両手で握って、抱きかかえるように持っている。気に入った。


「それと魔法石の破片だ。装飾店に持っていけば、加工してくれるはずだ」


 小さな碧星の欠片を渡された。きらめきを眺めると、大事に大切にポーチにしまった。


「師匠、師匠! この杖、師匠が作ったのか!?」

「そうに決まってるだろ。お前らの目は何のためについているんだ?」


 男らがヘストスに詰め寄り、それを押しのけながら答える。


「それよりお前ら、こいつらと一緒に来たみてえだが、挨拶したのか。うちのお得意様だからな」

「それを早く言ってくれよ。改めて、俺はこの頑固親父の弟子のザードだ、よろしくたのむぜ」


 ほかの2人もリベック、ルルズとそれぞれ名乗った。


「私はBランク冒険者のセイカよ」

「Dランク冒険者のカヨです」


 交互に握手をする。


「それでですねー、その杖をちょっと見せてもらえたりしないかと思っていまして……」

「おい、ザード抜け駆けすんなよ! カヨさんよければ自分にも」


 ルルズは何も言わないが、その瞳が語っている。


「魔法士が簡単に杖を渡すわけないでしょう。眺めるので我慢しなさい」


 大男の圧にカヨが萎縮しかけて、セイカが一喝した。


「お前らは見るんじゃねえ、作るんだろうが。バカ弟子どもが」


 ヘストスは奥へ弟子たちを追い立てていく。


「カヨ、俺の杖は丈夫だ。魔法石が壊れたときだけ来い。本体はどの工房でも修理できる。困ったら俺の名前を出せ」

「はい、ありがとうございます!」

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