20.魔法
前話で以下の改稿を行いました。内容の変更はありません
・一部改行できていなかったところの改行
「カヨ、この3ケ月よく頑張ったわね」
「ありがとう、セイカ!」
「でも、ここまですぐに上達するとは思っていなかったわ」
「セイカの教え方が上手だからだよ」
なぜこうなっているのかは、3ヶ月前のあの日、カヨが誘拐された日まで遡ることになる。
❀❀❀
「セイカ、わたし強くなる」
「急にどうしたの?」
「わたしがあの人たちをやっつける力がなかったから、今回こことが起こったと思うの。だから、強くなって、今度はわたしがセイカを助けるね!」
軽い調子ではなく、強く本気で思っているその様子に、
「私が貴女を鍛えてあげるわ」
持てる全てを授けようと思った。
「まずは、魔法を叩き込むわよ」
剣ではないのは、筋力がなく、長く持つことができなかったからだ。
また、属性判定の結果、カヨの属性は炎だとわかった。
「私の属性は氷だから、炎とは相性が良いわよ」
「本当!?」
「でも、それは貴女がある程度魔法を使えるようになったら、の話よ」
そして撃ち続けた結果、ほぼ全ての初級魔法は無詠唱で発動できるようになった。中級はいくつかだが、詠唱省略にまで扱えるようになった。
「魔法は発動速度がとても大切よ。だから、詠唱より詠唱省略、詠唱省略より無詠唱になるのよ。ここまではわかったかしら?」
「うん! 無詠唱で撃てるようになればいいんだよね!」
次に実地練習。
セイカは普段、剣に氷魔法を付与して魔物を倒す。だが今回は、
「魔法だけでするから、よく見ておいてね」
丁度、手ごろな大きさのうさぎ型の魔物がいる。
だがしかし、冷気を察知した瞬間には凍りついていた。
「今のはどうやったの? 魔法式もなかったよ?」
「これは、私の魔力をぶつけただけよ。だから、厳密には魔法ではないのよ」
「そうなんだ! じゃあ、魔力が凍ったのはどうしてなの?」
「私の属性が氷だからよ。魔力が体内にあるときは、属性に縛られないの。だけど、体外に出るときに、自身の属性に変質するのよ」
そこでカヨは1つの仮説を立てる。
「もしかして、詠唱するのは、属性のない魔力を属性のある魔法にするため?」
「ええ、そうよ。前も言ったけれど、詠唱の起句では体内の魔力を活性化させて、承句は何の魔法なのかはっきりとさせて、転句は魔法式を展開、結句は指向性を持たせるのよ」
「だから、詠唱省略では、転句と結句だけの詠唱で発動できる、でしょ?」
「よく覚えているわね。ついでに言うと、結句だけでも発動するのよ。――氷球」
セイカが結句のみを詠唱すると、近くの木に氷の球がぶつかった。
「すごい! 最初に光ったのは何?」
「魔法式よ。魔法式の展開から消えるまでが短いから、光っただけのように見えたのだと思うわ」
セイカのその説明に、カヨは強く好奇心をくすぐられる。
「――炎球」
カヨの結句のみの詠唱で、魔法式が展開され、魔法の発動と同時に消えた。
「本当だ! でも、セイカみたいに一瞬にはならない……」
「貴女も鍛錬次第でできるようになるわよ」
「あともう1つずっと気になっていたのが、魔法式って何なの?」
「難しい質問ね。分かりやすく言うと、魔法の設計図、かしら? 発動する魔法によって式が変わるのよ」
そう言って、2つの魔法式を展開させた。
「この2つはそれぞれ違う魔法よ。だから少し違うでしょう?」
カヨはじっくりと見比べる。
「あっ、本当だ。ちょっと違う。魔法式って無詠唱でも展開されるの?」
「ええ、もちろんよ。無詠唱だと展開されている時間はもっと短くなるわ」
さらに、護身術やナイフ術なども修行し、あっという間に3ヶ月が過ぎた。
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そして、現在に至る。
「カヨ、成功も失敗も多くあったわ。でも、それらは全て貴女の努力で、経験よ。Dランクにだってなれたのだから、自信を持って」
「わたしまだまだ頑張るから! いつか絶対にセイカのことも追い越すからね」
「その意気よ。でも、私だって負けないからね」
旅立ちのときが近づく。
2人が出会ったのは、まだ暑くならない季節だった。
それが、暑さは盛りを終え、少しずつ涼しくなっている。
2人はこれからも、教え、教えられる。それと同時に、互いを高め合う。
どこまでも。いつまでも。
魔法についてですが、もう少し先のエピソードでより詳しく説明する予定です




