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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
1.ルミーノ王国編
19/23

18.炎魔法

「本当に、ここにカヨがいるの?」


 セイカはともに来た衛兵の1人に問いかける。


「はい、間違いありません。ここ数日、近辺で当該人物が多数目撃されています」

「なら、早く、早くカヨを助け出さないと」

「落ち着いてください。しばらく様子を見て、交渉してみます」


 言い合っているうちに、ほかの衛兵も続々と集まってきた。


「これより交渉を行う。何が起こるかわからない。各自警戒をするように!」


 衛兵隊長が入り口の近くまで進んでいく。


「こちらは衛兵隊長、スパトイである。交渉に応じるか」


 何も反応はない。


「本当にここで合っているのかしら?」


「あーあー。俺はクリュス兄弟のミダスだ。こちらの要求は1つ、冒険者の閃華を連れてこい」


 突然、男の声が響いた。


「クリュス兄弟、だと」

「早く助けないとカヨが……」


 ルミーノ王国のみならず、世界中どこにでも現れ、金さえ払えば、善行(人助け)だろうが悪行(殺し)だろうが何でもする。それが、クリュス兄弟だ。




❀❀❀




「ボス、これでいいか」


 男――ミダスが振り返り、問いかけた。


「ええ、良い出来です」


 ボスは満足そうに頷いている。


「これで本当に閃華は来るんすかねー?」


 男は少女の側を離れ、ボスたちと共に部屋を出ていった。

 少女は薄く目を開いた。碧い瞳が動き、素早く状況を確認した。男たちの姿はない。


「セイカが危ない……」


 少し前から、意識は戻っていた。


「どうしたら、セイカを助けられるの?」


 男たちの目的は、セイカだったらしい。

 なぜカヨが誘拐されたのかはわからない。だけど、人質交換の結果、セイカが危険にさらされるということはわかった。


「セイカ。お願い、来ないで……」


 大きな足音が急に近づいてきた。


「おい、オルセイン。待て」

「オレに指図するな!」


 ドアが勢いよく開き、こちらに向かってきた。


「おい、起きろ!」


 カヨの胸元をつかみ、持ち上げるとぐらぐらと揺らした。


「だから、強い薬を使ったから、ちっとやそっとじゃ起きないって言ってるだろ」


「冒険者閃華を連れてきた。人質の解放を求める」


 さっきと同じ衛兵隊長の声だ。


「おい、ミダス。早くあの女を連れてこい」


 オルセインは、カヨを下ろしミダスを催促する。


「その女、よく見とけよ、オルセイン」

「オレに指図するんじゃねぇ!」


 ミダスは、オルセインとカヨを一瞥すると部屋を出ていった。


「閃華を1人でドアの前に連れてこい」


 男の声が響く。

 これで、カヨは助かるのかもしれない。しかし、代わりにセイカが危険にさらされる。

 セイカに逃げるように強く念じる想いが、彼女の中にあふれる。


 そして、部屋が、倉庫が染まった。

 ――紅く。

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