15.依頼2
前話までで、場面・視点が転換するところに記号を入れました。この改稿による内容の変更はありません
また、あらすじも変更しました。よければお読みください!
「まず、マラザス商会はセイカを一時的に雇う。これは依頼ではなく、短期雇用だ。いいかい?」
「ええ、いいわよ。それで条件は?」
セイカとヘルメアの付き合いは短くはない。
ここで条件を付けてくるのは目に見えている。それも彼女が断れないような条件を。
ヘルメアもわかっていたのか、口の端を上げた。
「店の外に出ないこと。カヨと直接関わらないこと。セイカだと知られないこと。この3つだ」
「1つ目と3つ目はわかったわ。でも、2つ目は無理よ。だって、私はカヨを助けるためにここにいるのだもの」
2人の視線が交錯する。互いが互いの条件を呑ませるために。
「お前さんは変わったな。条件を変える」
先に折れたのは、ヘルメアだっだ。
「それはきっと、カヨのおかげよ。それで、変更する条件は? この銀髪を隠せばいいのかしら?」
「今日も勘が鋭いじゃないか。ああ、その通りだ。その目立つ銀髪を隠してセイカだと気づかれなければ、カヨと直接関わることを許可する」
「会長、これでいいかしら?」
茶髪のかつらにマラザス商会の制服。さらに少し化粧をした。
「それでいい。いいかい、くれぐれも気づかれるんじゃないよ」
「わかっているわよ」
「いらっしゃいませ。本日はマラザス商会にお越しいただきありがとうございます」
いつもより声を変えて、新しく入店してきた客に挨拶をした。これなら、カヨにはわからないだろう。
❀❀❀
「いらっしゃいませ、マラザス商会です。いかがですか」
さっきよりも、人通りが増えてきた。
業務が始まる前、ヘルメアはこの時間帯が勝負だと言っていた。
「お嬢さん、ここがマラザス商会の新しいお店なのかい?」
前を通りかかった2人の婦人がカヨにたずねた。
「はい、そうです!」
「かわいいお嬢さんが呼び込みをしていると、入る前から楽しみになるね」
「そうだ、お嬢さん、私たちの買い物に付き合ってくれないかね?」
「えっと……」
客が入ってくれたのは嬉しいが、カヨは店内のことは詳しくは教えられていない。
「いらっしゃいませ、お客様。この者は新人なので、ご案内は私がいたしますね」
「あら、そうだったの。悪いことを言っちゃったわね」
「いえ、ごゆっくりとご覧ください」
やってきた店員と店に入っていった客に深く礼をする。
「〜〜っ! このまま頑張ろう!」
小さく手を握り、ひと時喜びをかみしめると、再び呼び込みに戻った。
❀❀❀
先ほど入店した婦人たちは商品を選んでいる。少し視線をずらし、店先で呼び込みをしている少女を見た。
さっきまでの不安さはない。
「カヨ、頑張ってね」
小さく、エールを送るようにつぶやいた。
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「本当にあの女で合っているんすか。どう見ても弱いっすよ、あいつ」
「確かに違いねえ。ボスも言ってただろ、我らが『アルテナ様』と同じ銀髪だ、ってな。もう少ししたらやるぞ」
「はいはい、了解っす」




