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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
1.ルミーノ王国編
14/18

13.朝

 暖かな陽の光が差し込み、少女たちの寝顔を優しく照らしている。


「……んぅ」


 少女――セイカの紅い瞳が薄く見えた。

 少しぼんやりしていたが、慌てて枕元の時計を確認した。


「よ、良かった。まだ時間あるわ」


 彼女は隣で寝ているカヨを見た。ぐっすりと眠っている。まだもう少し寝かせてやってもいいだろう。


「さてと」


 手早く身支度を整えると、もう一度時計を見た。


「カヨ、起きて。朝よ」

「……んぅ。あさ?」

「ええ、もう7時よ」

「しちじ……。えっ!」


 カヨの碧い瞳がぱちりと開き、ベッドから飛び起きた。


「ほらほら、着替えて朝ご飯よ」

「はーい!」


 昨日買った、ひざ丈の淡い薄紫色のフレアスカートと、白い半袖ブラウスに着替えた。

 鏡の前でくるりと回ると、スカートが空気を含み、ふわりとふくらんだ。

 そんなカヨをセイカが真剣な眼差しで見ている。


「セイカ? どうしたの?」

「カヨ、ちょっとだけじっとしてもらえる?」


 何か起こるのか全くわからないカヨは、ただ動かずに止まっている。


「うーん、もうひとつ欲しいわね……」


 こんなことを言いながら、自らの荷物を漁っている。

 これでもない、あれでもない、とせっかく片付けた荷物があっという間に出されていった。


「あったわ。これよ!」


 セイカが差し出したのは、薄茶色のリボンタイだ。

 素早くカヨのブラウスに付けると、満足そうに頷いている。


「よく似合っているわ」


 カヨも鏡を覗き込んで、パッと笑顔になった。


「これ、わたしが付けていいの?」

「ええ、いいわよ。私はもう付けないから貴女にあげるわ」


 前に服を買ったときのおまけで、数回しか使っていない。


「ありがとう、セイカ!」



 1階に降りると、ちらほらと何人かがすでにいた。


「セイカさん、カヨさん。おはようございます。すぐに朝食をお出ししますね」


 降りてきた2人にティナがすぐに気付いた。


「ありがとう、ティナ」


 窓辺の空いている席に座ると、彼女が言った通りすぐに朝ご飯の定食が出てきた。


「お待たせしました、本日の朝食です」


 半熟とろとろのスクランブルエッグと厚切りベーコン。オニオンスープとフレッシュなサラダも付いている。

 この宿屋の最大の特徴と言っていい焼き立てパンは、辺りに香ばしい匂いを立ち込めさせている。


「「いただきます」」


 カヨはパンを一口ちぎり、口に入れた。


「っ、おいしい!」


 豊かな麦の風味が口いっぱいに広がる。

 それからしばらく食べ進めていたが、セイカが依頼について話し始めた。


「今日の依頼はマラザス商会、新店舗での客の呼び込みよ。本当に大丈夫?」

「大丈夫だよ、セイカ。わたしが自分で選んだ依頼だから。でも、もしものときは助けてね?」

「勿論よ」


 朝食を食べ終わると、一度部屋へ戻り荷物を取った。


「さあ、カヨ。初依頼よ!」

「うん!」


 カヨはもう一度鏡を見ると、リボンをきつくしばった。

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