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世界をめぐる誓いー紅碧の邂逅ー  作者: Nodoka
1.ルミーノ王国編
11/18

10.市場

 マラザス商会から少し歩いたところにある市場は、大勢の人たちがいて、常に賑わっている。


「すごい人だね……!」


 カヨはキョロキョロと辺りを見渡す。


「今はお昼を回っているから、まだ少ない方よ。朝や夕方はもっと人がいるわ」

「いらっしゃい、いらっしゃい〜! 今なら焼き立てだよ〜!」


 呼び込みの声と串焼きの匂い、人の騒がしさ。

 それら全てが、カヨの心をわくわくと掻き立てる。


「セイカ、あの串焼きは何のお肉なの?」

「あれは……鶏よ。あっちは、魔物ね」

「えっ、魔物って食べられるの!?」

「ええ、食べられるものも多いわよ。食べてみる?」


 セイカの問いに、カヨは戸惑いと好奇心が混じったような表情になった。


「……うん、食べてみたい!」


 興味が勝ったようだ。


「2本、お願い」

「串焼き2本! 160ペトになりまーす! 毎度あり!」


 あの呼び込みはここだったらしい。すぐに出てきた。


「見た目は、美味しそうだけど……」


 大きくかぶりつく。


「――っ! 美味しい!」


 熱くて、冷ましながらだが勢いよく食べ進めていく。

 セイカもカヨの幸せそうな顔を見ながら、一口食べた。


「これは、いくつか混じっているわね」

「この柔らかいのと、ちょっと固めなの?」

「そうよ。たぶん、兎と豚、猪型の魔物ね」


 そんなことを言っている間に食べ終わってしまった。


「さっき、ペトって言っていたけど、それって?」

「ペトはルミーノ王国の貨幣で、1000ペトで銀貨1枚よ」


 セイカはポーチから1ペト硬貨を取り出し、見せた。


「ってことは、ほかの国にもそれぞれのお金があるの?」

「もちろんあるわよ。でも、ルミーノ王国周辺だとこのペト硬貨が主流ね」

「あれ? でも、宿屋では金貨で払っていたよね?」

「大きい宿や商店では、共通硬貨でも払えるのよ。共通硬貨というのは、銀貨とか金貨のことよ」

「そうなんだ」


 カヨは依頼の報酬を思い出した。


「銀貨7枚だから、7000ペト? さっきの串焼きが1本80ペトだから……87本分!」

「ええ、そうね。でも、全部串焼きに使ってはだめよ?」

「わ、わかってるよ!」


 セイカの言葉にカヨは膨れつつも、すぐに首を傾けた。


「2つもお金があったら、困らない?」

「その点は大丈夫よ。共通硬貨を使うのは旅人だけだから」

「そうなんだ。あっ、だから大きなお店では共通硬貨が使えるの? 旅人が使うから」

「ええ、その通りよ」

「他にはどんなお金があるの?」

「そうね、例えば……」


 セイカはポーチを探った。


「このダリルかしら。これはこれは北のアルスモ帝国周辺で使われているわ」

「このダリルはペトにするといくらぐらいになるの?」

「1ダリルが100ペト程度ね」


 セイカはペト硬貨とダリル硬貨をカヨに渡して見せた。


「細かく柄が彫られているんだね……」

「すごいでしょ。例えば、これは1ペト硬貨たけれど、100ペト硬貨もあるのよ。意匠も変わってくるのよ」

「本当だ! このどっちの硬貨にも描かれている人は誰?」


 1ペト硬貨と100ペト硬貨、そのどちらにも同じ人物が描かれている。


「この人はルミーノ王国の初代国王よ」

「へえ。じゃあ、この100ペト硬貨の国王の後ろにあるのは?」

「それはルミーノ王国の地図よ。現在のではなくて、建国されたときのだけれどね」

「あっ、こっちのダリル硬貨は剣?」


 ダリル硬貨の方もよく見ていたカヨが尋ねた。


「そうよ。アルスモ帝国は軍事大国なの」

「そういえば、依頼の報酬は共通硬貨なの? マラザス商会の依頼は銀貨だよね?」

「依頼の報酬は基本的に、その支部がある国の貨幣で払われるわ。だから、マラザス商会は異例ね」

「そうなんだね」


 そのとき、ゴーンゴーン、と鐘の音が響いた。


「あら、もうこんな時間? 宿に帰って、明日に備えましょう」

貨幣について整理すると、

金貨1枚=銀貨1000枚

銀貨1枚=1000ペト

1ダリル=100ペト となります


セイカたちが泊まっている宿は大きな宿です

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