84.真の王
ドルドスとボルドーは馬車に乗り王宮から脱出する。
「陛下、王国軍が到着したようです。」
「ひゃははは、これで侵略者共も終わりだな。」
「ええ、三傑は手間取っているようですが」
ドンッ!
「何だ!」
ドルドスとボルドーの前にカルマが到着する。
「くっ、痛いな。」
「衛兵!曲者だ!」
ボルドーが叫ぶと二人についていた衛兵達は一斉にカルマに斬りかかる。
しかし、カルマの炎の剣が2人の衛兵を切り伏せる。
「くそっ!なんなんだ!」
「我が兵は何をしている!」
その時、王宮の扉から大量の兵がこちらへ向かってくる。
「おお!来たか!」
その兵達は鬼のような形相でカルマを打ち倒すためにこちらに向かって……
いや…恐怖に慄いた表情で何かから逃げている様子だった。
すると、兵の最後尾で大きな土煙が起こる。
それはすごい勢いで兵達を吹き飛ばしていくガーディスの姿だった。
「ガーディス!?なぜ奴が国軍兵を薙ぎ倒しておる?」
「さぁ観念しろ!ドルドス!
ガーディスにはお前の真実を話し、他のミルズ三傑は戦闘不能。お前達の負けだ。」
「俺の真実だと?何を言って……」
「久しぶりですなぁ殿下…」
ドルドスの言葉を遮るようにカルマの背後から老人が現れ、声をかける。その人物は闇商人のユバルバであった。
「お前…まだこの街に!?」
「もう辞めにしませんか?殿下。」
「何を言っている」
「あなたに手を貸したこと、わしは今でも後悔している。
あなたがあの魔導符をどのように使うか、聞いてはいませんでしたが、もちろん予想はついておりました。
だから、あなたを止めることができなかったのは、私の責任と思うております。」
「知った口を聞くな!貴様は国外追放にしたはずだ!
他の兵は!?他の兵はまだか?」
今にもガーディスがドルドスの元へ到着しそうで、ドルドスは焦りはじめている。
「ドルドス、お前は詰んでいるんだよ。」
そこへカルマの背後から別の部隊が到着する。
「ふはは、なにが詰みか!貴様こそ終わりだ!」
カルマの背後の兵達はカルマ達へ近づく。
「貴様ら!その小僧を捕らえよ!!」
……
「……?。どうした?はやくしろ!」
ドルドスの命を受けても、兵達は動く気配がない。
それどころか、兵の1人がドルドスの前に立ち剣をつきける。
「何をしている!貴様らどうなるかわかっているのか!?」
「その者が言ったように、お前の暗躍はここで終わりだ。」
「!?貴様は……」
兵をかき分けるように、ローブを羽織った男が、現れる。その傍にはアマンダの姿がある。
「グラリス……!!」
それはドルドスによって嵌められ幽閉されていたドルドスの兄、グラリスだった。




