新たな記憶
洞穴にいたハウロスは体が少しずつ動かせるようになり、ゆっくりと洞穴の入り口まで行き外を見る。
「これは……!」
ハウロスは目に飛び込んできた光景にぞっとした。
それは深く雪が積もっている山に大量の穴が空いているように、地面が溶け土が露出している箇所が複数個、奥まで続いているのだ。
ハウロスにはすぐにわかった。この異様な光景はカルマの魔術によるものだと、カミルを探すために魔術を使用し続けているのだと。
「ボス、カミル……無事でいてくれ…」
カルマはカミルを探しながら山を登っていく。
「はぁ……はぁ……」
落ち着いていた天候も荒れ始め、吹雪がカルマを襲う。
魔力も底をついてきて、カルマの体力も限界間近だった。
「う……」
カルマは足を滑らせ、雪の上に倒れ込む。
冷たい……寒い……
足が痛い……目の前は真っ白で
寒さで指先の感覚がなくなってきている。
朦朧とする意識の中で、ぼんやりと頭に何かがよぎる。
(こんなこと前にもあったような…)
水晶の村を出て、雪が降り積もる山で一人、歩き続けた。体は芯まで冷えていて、真っ白い雪の中に埋もれていく……
(この記憶は…何だ、前世の記憶でもない。それに、この世界に来てからも、ここに来たの初めてだし……)
そんなことを考えながら、カルマの意識、雪の中に沈んでいく
(起きろ!おまえはまだ死んではいけない!おい!)
頭の中で誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「誰…?兄さん……?」
カルマがその声に呼び起こされるように起き上がると、そこには誰もいなかった。
「……」
カルマは頭の中に巡った一連の記憶が何だったのか気になりつつも、カミルを探さなければと切り替える。
すると、目線の先、一面雪景色の中で一箇所、少し光を放つ場所を見つける。
「……?」
カルマは残った体力を振り絞り、雪を掻き分け、その場所に向かって歩いていく。
「……!」
そのわずかな光の場所へ行くと、
そこだけ雪が溶けくぼみになっており、中には倒れ込むカミルのそばでメラが小さな火を吹いていた。
「カミル!」
「おお……」
カミルは力無く反応する。
カルマは窪みへ降りるとカミルに駆け寄る。
「お前がカミルを守っててくれたんだな。」
「キュー」
メラは役目を果たしたように召喚が解け消える。
カルマはカミルを背負い、窪みから這い上がる。
「大丈夫か?カミル」
「ああ…何とかな」
カルマはカミルを背負い、ハウロスの待つ洞穴へ向かい、一歩ずつゆっくりと進んでいく。
「カルマ……すまないな。」
「気にするなよ。君は俺の従者なんだろ?」
「ふっ……ばかだな。君は。主が従者のために危険を犯してどうするんだ…」
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しばらく歩き、洞穴へ到着する。
「ボス!よかった……カミルは?」
「大丈夫。意識もあるよ。」
「ふぅ。とりあえず助かった。」




